CIEC春季カンファレンス論文集
Online ISSN : 2759-5196
Print ISSN : 2435-3418
スマートフォンを用いた放射線検出アプリの開発と科学教育アウトリーチへの展開
‐宇宙線検出アプリによる科学教育の新たな可能性‐
鷹野 和紀子 日比野 欣也有働 慈治
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2025 年 16 巻 p. 23-28

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抄録

 本研究では、スマートフォンやタブレットに搭載されたCMOSイメージセンサーを活用し、宇宙線の観測と科学教育への応用可能性について検討を行った。CMOSイメージセンサーは、シリコンを基材とした半導体デバイスであり、荷電粒子が通過する際に発生する電荷を検出し、デジタル画像として記録する特性を有する。この特性を活かし、宇宙線を観測できるアプリ「そらまめ(宙豆)」を開発し、その実用性を検証した。また、特別な設備を必要としない、低コストの観測環境を提供することで、科学教育への応用可能性についても検討を行った。この取り組みは、科学的探究心を育む学びの場を提供し、データ解析能力や学際的学びの促進を通じて、教育格差の是正に寄与することが期待される。さらに、「そらまめ」を活用した科学教育プログラムの提案を通じて、主体的・対話的で深い学習を支援し、科学リテラシーの向上を目指すとともに、教育現場における新たな活用モデルの提供を目指している。今後は、観測手法の精度向上や教育プログラムの具体化を進めるとともに、一般市民が参加可能な国際観測ネットワークの構築を目指す市民科学の普及と教育の発展に貢献していきたいと考えている。本研究の成果は、科学教育に新たな可能性を切り開くものであり、科学技術の理解促進と教育イノベーションの実現に向けた重要な一歩となると考えられる。

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