抄録
カルボニル酸素と共役結合で繋がれたビニルアルコール水素が水素結合を構成する系は共鳴支援水素結合系と呼ばれている。縮環シクロヘキセン-1,2-ジオンのエノールにおける分子内水素結合系では共役系の長さと配置により、水素結合型構造の有無が系の芳香族的性質に大きく影響することを理論計算により示してきた。特に5員環を縮環した系においては水素移動の途中で三重項状態に移ることが示された。そこで、縮環している3,5,7員環の配置の違い含めて三重項状態での分子内水素結合による本系における芳香族性の変化について検討した。