日本障害者歯科学会雑誌
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症例報告
入院下全身麻酔管理で抜歯術を行ったWilliams症候群患者の1例
髙橋 珠世大植 香菜吉田 啓太向井 友宏小田 綾好中 大雅向井 明里入舩 正浩
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2018 年 39 巻 2 号 p. 137-142

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抄録

Williams症候群は,妖精様顔貌,大動脈弁上狭窄などの心血管系疾患や知的障害などを主徴とする症候群である.知的障害を伴うことにより,入院という環境変化への適応困難が予測されたが,周術期の死亡例が報告されていることから,日帰り全身麻酔の適応はないとする報告もある.今回,われわれは,Williams症候群患者の上下顎両側第三大臼歯抜歯術に対する入院下周術期全身麻酔管理を経験した.症例は,18歳女性で上下顎両側第三大臼歯の抜歯術を予定した.問診時,両親から,手術に対する恐怖心が非常に強く,ストレスを感じると入院自体が困難になる可能性があるとの申告があった.そのため,本人には入院や手術について伝えず,病室では血圧測定や聴診などこれまで実施できていた医療行為のみ行い,リラックスできる空間となるよう努めた.手術当日は,手術室入室前に麻酔前投薬として病棟でミダゾラムを静注した.手術室での麻酔導入はスムーズであり,小顎であったがマスク換気や気管挿管操作は問題なく行えた.術中も特に問題なく経過した.抜管直後の見慣れない環境に対する不安・恐怖を回避するため,ミダゾラムを静注した後に,一般病棟へ帰室させた.帰室後も問題なく経過し経過良好であったため,翌日退院となった.本症例では,合併する疾患により入院下での麻酔管理としたが,本人がストレスと感じることを可及的に回避するよう努めたことで,問題なく入院下手術を終了することができた.

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© 2018 一般社団法人 日本障害者歯科学会
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