抄録
機能性分子の開発では、期待される性能を示す分子の探索が課題となる。分子を探索する一つの手法は類似性に注目するものであり、様々な類似性が重要な尺度として活用されている。本研究では電子状態計算で得られる量に基づいて分子の類似性を定量的に評価する手法を提案する。まず、電子状態計算より計算された基底状態および励起状態の電子状態準位や振動状態の情報から9種類の分子類似性記述子を定義した。これらの記述子をもとに、電子的類似度、振動類似度、量子化学的類似度を評価した。提案した評価法を5種のカロテノイドと11種の基本的な炭化水素化合物から成るトライアルセットに適用したところ、いずれの類似度を用いた場合でも、値の大小によってカロテノイドを分類することができた。