抄録
立体配座探索にはMerck社からの報告に代表される分子力場(MM)計算が一般に使用されている。ところが、日本の製薬企業に協力して水素結合を有するキラル医薬候補分子の解析を進めたところ、三割以上予測赤外円二色性(VCD)スペクトルが実測のものを再現しない結果が得られた。そこで、共通するSMARTS記法で表されるフラグメントをもち自由度が高い分子にむけて、フラグメント分子のデータベースの中から立体配座探索を行い、密度汎関数法計算のための初期構造を自動作成するプログラム(ConfFragGeneration)を構築した。フラグメント分子であるcyclohexyl nonanoate の立体配座データからキラル分子であるcholesteryl pelargonateの初期構造を自動作成し、コレステリック液晶状態の赤外円二色性(VCD)解析を行った。