創薬段階でのコンピュータを用いた候補化合物のデザインにおいて、合成容易性の考慮は重要である。しかし、既存の予測手法ではうまく評価できない化合物が報告されており、機械学習を用いる、より網羅的な予測手法の構築を目指した。CICSJ42において、深層学習による予測モデルが40化合物の検証セットを合成が困難な化合物群と合成が中程度〜容易な化合物群に判別できることを報告した。しかし、合成容易性が中程度の化合物と容易な化合物をうまく判別することはできなかった。今回、トレーニングセットの化合物数や隠れ層のノード数を増やし、合成難易度が中程度の化合物に対する合成容易性評価の精度が果然されるかどうかを検証した。テストセットの判別に対しては、以前の予測モデル(99.08%)よりも高い正答率(99.32%)を有する予測モデルが得られたが、検証セット中の合成容易性が中程度の化合物に対しては、明確な改善は得られなかった。現在、予測モデル出力の解釈手法についてさらに検討を行っている。