抄録
理論計算による遷移状態解析結果を、反応速度論に適用し、詳細な反応プロフィールを追跡シミュレーションすれば、反応器設計等に役立つと考えられる。しかしながら、複数の基質を共有し、相互に作用し合う複数の反応が混在している系でシミュレーションを試みた場合、その計算コストが膨大となる問題がある。本研究では、Eyringの絶対反応速度論式を基に、複雑系の反応速度論式を、連立常微分方程式により解く方法を提案した。またこれを、反応速度論シミュレーターKineratorに、Python3を用いて実装した。TSDBに収録されている安息香酸の無水化反応(4段階で進行)の活性化Gibbs自由エネルギー及び、反応Gibbs自由エネルギーを用いて、Kineratorによりシミュレーションを実施し、時間における基質の濃度変化を追跡した結果を示す。