リアルオプションと戦略
Online ISSN : 2189-6585
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小豆先物価格は冷温リスクを予測する
森平 爽一郎 伊藤 晴祥
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2020 年 11 巻 1 号 p. 27-34

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抄録
小豆先物価格は現物価格との相関が低い高いことからヘッジ機能が低く「投機市場」であるとの批判がある。そのことは小豆先物価格がファンダメンタルな要因とは無関係に決まっている「投機市場」であると判断しがちである。我々は、同様な批判のもとにある冷凍濃縮オレンジジュース(FCOJ) 先物取引の分析を行ったRoll (1983) やBoudoukh et al. (2007) が用いた実証方法にもとづき、「冷夏リスク」が小豆価格に及ぼす影響を検討した。この論文では、さらに、RollやBoudoukh et al.の分析方法を拡張し、線形の状態空間モデルを用い、1)夏季(冷夏)のみならず、1年の全ての日における「冷温リスク」が、2) 小豆先物価格のみならず現物価格に与える影響を分析した。その結果、1)「冷温リスク」は、先物価格は多くの月で「プラス」の影響を与えるのに対し、現物価格ではそうした効果は低く、わずかに10月と11月に「マイナス」の影響としてだけ確認できた。また、2)「冷温リスク」は、夏季だけでなく、春や冬、秋の一時期においても先物価格にプラスの影響を与えていることが明らかになった。このことは冬における寒さが、小豆の収穫減につながる夏の寒さをもたらすという先物の「価格発見機能」の存在を示唆するものと言える。 キ
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© 2020 日本リアルオプション学会
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