理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: CP565
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運動学
脊柱後彎患者の脊柱と骨盤の運動学的関係について
*村中 まゆ美西村 由香佐藤 文梶本 寿洋石橋 晃仁富樫 久夫吉尾 雅春
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キーワード: 脊柱後彎, 骨盤後傾, 高齢者
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抄録
【目的】脊柱後彎を表す評価法はいくつか報告されているが、過度の脊柱後彎が運動学的にどのような影響を与えているのかわからない。今回、我々は脊柱後彎の理解を深めるため、過度の脊柱後彎を呈する患者(以下、脊柱後彎患者)の、脊柱と骨盤の関係を運動学的に捉えることを目的として、座位と立位による差異を比較検討したので報告する。【対象と方法】対象は、健常者20名(男性5名、女性15名、平均年齢24.3±2.2歳)と当院理学療法施行中で立位保持可能である脊柱後彎患者(男性3名、女性15名、平均年齢87.4±5.3歳)とした。条件は各姿勢において「正面を向いた楽な姿勢」とし、座位では座面の高さを膝関節90度屈曲位となるようにした。検者は、上前腸骨棘(以下、ASIS)、上後腸骨棘(以下、PSIS)、第7頸椎棘突起(以下、C7)を指し示した。脊柱後彎患者に限り、矢状面上、最も隆起している椎骨棘突起(以下、頂椎)を追加した。各姿勢において、右矢状面より、デジタルカメラを使用して撮影し、これらのポイントを画像上で結び、角度計にて測定した。∠C7・頂椎・PSIS(以下、∠α)、ASISとPSISを結ぶ線と水平線とのなす角(以下、∠A:骨盤後傾位は+、前傾位は-とする)、∠ASIS・PSIS・頂椎(以下、∠B)、頂椎とPSISを結ぶ線と水平線とのなす角(鋭角側、以下、∠C)とした。それぞれの角度について比較検討し、有意差の検定はt検定(p<0.01)を用いた。【結果】1.∠αは脊柱後彎患者立位で平均134.2±9.0度、座位で平均128.6±9.5度と有意な差はなかった。 2.∠Aは健常者立位で平均-8.8±7.5度、座位で平均4.6±12.1度、脊柱後彎患者立位で平均1.3±13.8度、座位で平均22.9±15.2度であった。各対象の座位と立位で有意な差があり、脊柱後彎患者の座位姿勢で最も後傾していた。 3.脊柱後彎患者の座位では、∠Aの増加に伴い∠B,∠Cには負の相関があった(∠Aと∠B:r=-0.717、∠Aと∠C:r=-0.712)。【考察】脊柱後彎患者における脊柱と骨盤の関係は、座位姿勢で最も骨盤が後傾しており、骨盤後傾が大きいほど、∠Bと∠Cは小さくなった。安定した座位で頭部を持ち上げるために、持続的に脊柱後彎を修正することが困難な患者でも、骨盤周囲にはそれを調整する能力が残されている可能性があると考えられる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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