理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: CP654
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運動学
大腰筋エクササイズが対側重心動揺に与える影響
*森田 暁北脇 真理山崎 敦
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キーワード: 大腰筋, 重心動揺, 姿勢制御
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抄録
【はじめに】我々は、大腰筋エクササイズ(以下Exと略す)が重心動揺に与える影響について、第37回全国理学療法学術大会で報告した。Exを行った下肢の片脚立位で、重心動揺の減少を結果として得た。これらのことから、腰椎を介した身体重心の制御(静的姿勢制御)に対する大腰筋の関与が伺われた。今回は、“大腰筋の解剖学的特異性からして、支持側と反対側にExをすることによっても同様の結果が得られる”といった仮説を立て、その検証を行う研究を行ったので報告する。【対象と方法】対象は、下肢に整形疾患等の既往歴がない健常成人22名(男性14名、女性8名)で、平均年齢は24.7±5.0歳であった。測定には、アニマ社製重心動揺計ツイングラビコーダーG‐5500を使用した。目線の高さで3m前方の一点を注視させて、非利き足における片脚立位での重心動揺を測定条件とした。十分に動作を習得させた上で、サンプリング周波数60Hz、測定時間30秒での重心移動距離を3回計測した。次に腸骨に手を当て体幹-骨盤を中間位に保持した端座位で、利き足股関節屈曲運動を3秒間施行、3秒間休息のパターンで10回行わせた。その直後より、3回の重心移動距離を計測した。各計測間には3分間の休息を取り、Ex前、Ex後の平均値をもって、個人のデータとした。検定には対応のあるt検定を用いた。【結果】総軌跡長はEx前:92.4±17.1cm、Ex後:85.2±14.2cmで有意差を認めた(p<0.01)。左右方向軌跡長はEx前:53.0±10.8cm、Ex後:49.6±8.7cmで有意差を認めた(p<0.05)。また、前後方向軌跡長はEx前:65.3±13.8cm、Ex後:59.5±11.6cmで有意差を認めた(p<0.01)。【考察】 本研究の結果から、Ex側だけではなく対側へ中和筋として作用することが示唆される。身体運動は、主動作筋、拮抗筋の相互作用により可能となる。たとえ主動作筋が出力を備えていても拮抗筋による中和作用がなければ、関節の運動効率低下やアライメント異常を招く可能性が大きいと考えられる。片側の大腰筋収縮のみでは、腰椎がEx側へと側屈する。そこで、対側大腰筋の等尺性収縮を中心とした筋活動性で腰椎の支持性が向上し、結果として重心動揺が減少したと推測される。また、胸腰筋膜を介しての腹腔内圧向上や、抗重力位での背筋群の活動性を向上させることによる効果も、身体重心の移動を減少させた一要因と思われる。以上より、臨床において疼痛や麻痺によりいわゆる患側と称される部位への間接的なアプローチとして、有効な運動療法の一つであると考えられる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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