理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: CP655
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運動学
教示方法が部分荷重のパフォーマンスに与える影響
*渡邉 観世子谷 浩明 
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抄録
【はじめに】ある運動を行う際に教示方法が違うことでその運動課題の習得度合いが異なることがある。本研究では、骨折後や片麻痺等で一側への荷重を促す目的で用いられている下肢の部分荷重練習において、教示方法の違いで荷重量調節の習得度合いが異なるかどうかを検討した。【方法】被験者は、健常成人19名(男性10名、女性9名)とした。平均年齢は22.4±1.9歳であった。運動課題は、右片脚立位姿勢から、左下肢に体重の1/3、右下肢に体重の2/3がかかるような立位姿勢へ移行することとした。この課題に対して、右下肢にかかる体重が2/3となるように教示する群(以下R群)と、左下肢に体重の1/3をかけるように教示する群(以下L群)の2群にランダムに配置した。実験の開始に際して、被験者は、棘果長の90%の高さのベッドに坐骨部分を引っ掛けるようにして座位をとり、右足底を荷重検出器にのせ、左足底を宙に浮かせて免荷させた状態をとり開始肢位となった。「用意」の合図で右片脚立位となり、「スタート」の合図で左下肢への荷重を開始した。「終わり」の合図で再びベッドに座位をとり開始肢位に戻った。実験装置は、体重移動による荷重変化を取り込む部分と、KRの呈示部分から構成された。荷重検出器からの信号は、ストレインアンプで増幅後、コンピュータに取り込んだ。また、被験者の左側に置かれたデジタルオシロスコープ上に、教示された側の下肢の目標値と実測値が波形として表示され、これを練習中の視覚的なKRとして用いた。課題試行時間4秒、KR遅延時間6秒、KR付与時間4秒、KR後遅延時間6秒であり、1試行の試行間間隔は16秒とした。実験は練習相(18試行)と5分後・24時間後の想起相(各3試行)で行った。KRは練習相において3試行毎の計4回呈示された。解析は、3試行を1ブロックとし、ブロック毎の左下肢での正規化RMSEの平均を求め、これによってパフォーマンスの良否を評価した。【結果】RMSEは、練習相を通じてR群が20.4%から13.8%、L群が20.5%から12.7%となり、練習に伴うRMSEの減少がみられ、ブロック間に有意な主効果が認められた(p<0.05)。群間では、R群よりもL群のRMSEが小さい傾向がみられたが、練習相・想起相において有意な主効果は認められなかった。また、練習相の2ブロック目は他のブロックと異なり、R群のRMSEの標準偏差がL群よりも大きいという特徴がみられた。【考察】群間での差がみられなかったことより、教示方法の違いによって習得度合いは変わらないと考えられる。被験者間のばらつきが大きかったR群の2ブロック目は、1回目のKRを受け取った直後の試行を含んでいる。このことは、全荷重から体重の2/3まで荷重を減らしていくR群の一部には、KRをパフォーマンスの修正に用いるのが困難な者がいたことを示唆している。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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