理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: DO414
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骨・関節疾患(整形外科疾患)
人工股関節置換術後における股関節外転筋筋力の回復過程
*白取 洋子山田 伸今 達利松本 茂男江西 一成秋元 博之
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抄録
【目的】股関節外転筋は歩行時の骨盤安定に関与し、特に股関節疾患患者においては重要な筋の一つである。しかし人工股関節置換術の術後早期において、外転筋筋力がどの時点でどの程度回復するかについての報告は少ない。そこで我々は、術前および術後早期からの外転筋筋力を測定し、THA後の筋力回復過程について検討したので報告する。【対象と方法】対象は当院で初回THAを施行した変形性股関節症患者12名(男性2名、女性10名)であり、平均年齢62.0±8.7歳、体重54.8±10.0kg、身長150.3±4.6cmであった。手術は全例後側方アプローチで行い、大転子の切離は行わなかった。日整会股関節機能判定基準に従い疼痛、可動域を術前、術後6週に評価した。さらにKIN-COMを用いて両下肢の外転筋等尺性最大筋力を術前、術後2、4、6週に測定した。なお外転筋筋力は、骨盤部を固定した背臥位で5秒間の最大収縮を外転角度0度と5度で3回繰り返し測定した。術後リハプログラムは、1週目はベッド上、術後2週目よりリハ室で筋力強化、ROM訓練および歩行訓練を行った。荷重時期はセメント使用群では術後2週目より全荷重、セメント非使用群は術後3週目より部分荷重開始とした。【結果】術後、疼痛(中央値:10→35)および外転可動域(中央値:2→8)は著明に改善した。術前の外転筋筋力は、手術側0度29.6±10.6N、5度27.4±16.4N、非手術側0度38.2±13.8N、5度37.1±17.7Nであった。術後2週の時点で術前の外転筋筋力より下回った者は少数であり、外転筋筋力は術後経過と共に手術側、非手術側とも増加した。術後6週時の増加率は、手術側外転0度では114%(p<0.01)、手術側外転5度が190%(p<0.05)、非手術側0度が58%(p<0.05)、非手術側5度が47%であった。外転筋筋力増加率の計測角度によるに違いは、非手術側では認めなかったが、手術側では、統計学的に有意差はなかったものの外転5度の方が大きい傾向にあった。【考察】術後の股関節外転筋筋力は、ほとんどの例において術後2週時点で術前を上回っていた。これは術前の疼痛が自発痛を伴うものであったのに対して術後は自発痛が消失していること、および関節可動域の改善とが関連していたと考えられる。従って、少なくとも術後2週時点では手術侵襲による外転筋機能不全の影響は少ないと考えられる。しかし術後2週未満の外転筋筋力における手術侵襲や疼痛などの影響は不明であり、今後の検討課題である。また外転筋筋力の増加率が外転角度5度において大きかった原因としては、手術による骨頭中心の内方化、大転子引き下げによる中殿筋機能の効率化などが考えられた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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