理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: DP136
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骨・関節疾患(整形外科疾患)
腰痛再発の危険因子について
*佐藤 友紀
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キーワード: 腰痛, 再発, 危険因子
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抄録

【はじめに】前回,我々は腰痛再発回数と脚長差の関係について検討した。しかし脚長差以外の腰痛危険因子の影響を考慮せず検討した。今回対象数を増加しさらに,これまで腰痛の危険因子として検討されてきた性別,年齢の脚長差以外の因子を含め検討した。【対象と方法】 腰痛・下肢痛を主訴として来院した外来患者74名(男性42名,女性32名,平均年齢41.1±13.7歳)。疼痛が強く明らかに左右均等に荷重できない症例,脊椎の手術を受けている症例は初めから除外した。 過去1年以内の腰痛回数(ADL障害・仕事に支障を来した腰痛),さらに性別・年齢を問診し,脚長差は単純X線像から測定した。脚長差分類は0-4mm,6mm以上のグループに分類し,腰痛分類は過去1年間に腰痛の経験なし,1回経験,2回経験の3グループに分類した。年齢は25歳未満,25以上45歳未満,45以上69歳未満の3グループに分類した。統計学的解析にはカイ二乗検定,分散分析を用いて分析した。【結果】 腰痛回数グループ分類では過去1年以内に腰痛なし群は13名,1回群は53名,2回以上群は8名であった。脚長差グループ分類で0-4mm群は57名,5mm以上群では17名であった。年齢グループ分類では25歳未満は9名,25以上45歳未満は35名,45以上69歳未満は30名であった。(腰痛と年齢)各年齢グループ間において腰痛発生率の有意な差が見られなかった。(腰痛と脚長差:年齢補正)年齢補正後,腰痛回数と脚長差間に有意な差が見られなかった。(腰痛と性別)性別間に腰痛発生率の有意な違いは見られなかった。(腰痛と脚長差:性別補正)男性のみ腰痛回数と脚長差に有意な関係が見られた。【考察】腰痛危険因子として年齢,性別を始め多くのことが報告されている。しかし,年齢・性別補正後の腰痛回数と脚長差の関係は我々の知る限りこれまで報告されていない。今回,性別補正後の腰痛と脚長差に関係において,男性のみ腰痛回数と脚長差に有意な関係が見られた。この理由として脚長差以外の腰痛危険因子が男性においてのみ作用していることが考えられる。今後,他の腰痛危険因子を含め検討し,腰痛罹患の高くなることが予想される複合的危険因子を認識することが必要である。

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