理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: DP668
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骨・関節疾患(整形外科疾患)
整形外科疾患を有する高齢者の歩行に関わる因子の検討
*金島 奈緒子重松 邦彦岡西 奈津子稲津 恵美山口 知直平岩 直樹丸石 正治森 美登里浦辺 幸夫
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キーワード: 高齢者, 歩行, 10m歩行
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抄録
【目的】高齢者の歩行能力の規定要因として下肢筋力が重要であると言われているが、筋力以外の因子に影響を受けている可能性は否定できない。そこで我々は高齢者の歩行に関わる因子を検討することを目的とした。【対象】対象は整形外科疾患を有する69名の女性患者で平均年齢は76.1±6.6歳であった。疾患の内訳は膝関節疾患32名、脊椎疾患18名、股関節疾患14名、上肢疾患5名であった。さらに理学療法士の判断で自立歩行群と監視歩行群に分けたところ、55名が自立歩行群、14名が監視歩行群であった。【方法】身長、体重、主疾患、などの基礎的項目を確認した後、運動機能評価として最大等尺性筋力(膝関節伸展・屈曲)を座位にて股関節90°・膝関節90°で日本メディックス社製power track IIコマンダーを用いて測定した。腹筋力の指標としてTilt table角度(青木ら、2000)、10m歩行(最短時間、step length)、Timed Up and Go Test(TUGT)、Functional Reach Test(FRT)、片脚立位時間(開眼・閉眼)を測定した。データの分析は、全体、自立歩行群、監視歩行群、さらに、膝関節群、脊椎群、股関節群、上肢群について平均値と標準偏差を求めた。各群内での相関はピアソンの相関係数と各測定項目における自立歩行群と監視歩行群間の有意差をt検定で危険率5%未満で求めた。【結果】自立歩行群では全ての群に共通して10m歩行とTUGTの間に有意な相関関係がみられた。膝関節群と上肢群ではstep length、脊椎群ではstep length、FRT、片脚立位、股関節群では筋力、Tilt table角度、片脚立位との間に有意な相関関係があった。監視歩行群では全体では10m歩行と、step length、TUGTに有意な相関がみられたが、膝関節群ではTUGTのみ、股関節群ではstep lengthのみに有意な相関があった。全群では全ての群に共通して、10m歩行とTUGT、step lengthの間に有意な相関がみられ、脊椎群ではそれに加えFRT、片脚立位で有意な相関があった。全体で有意差がみられたのは筋力、10m歩行、TUGT、片脚立位、膝関節群では10m歩行、step length、TUGT、片脚立位であった。【考察】ほぼ全ての群において10m歩行とTUGT間に有意な相関がみられたが、TUGTには歩行の要素が多く含まれているため妥当な結果と思われる。脊椎群のみでFRTと片脚立位の間に相関がみられているが、これには体幹の可動性が関係しているのではないだろうか。今回測定した運動機能評価項目の中で歩行に強く相関する因子としてTUGTがあげられたが、疾患部位による身体機能の特徴を捉えるためにはさらに症例数を増やして検討する必要があると思われる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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