理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: FP144
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神経・筋疾患
振動刺激が関節可動域制限に及ぼす効果
*沼田 仁益山 弘志辻井 洋一郎
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キーワード: 振動, 関節拘縮, 関節可動域
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抄録
【はじめに】今回,発案・開発したバイブレーター(MyoVib)にて関節可動域(ROM)制限,特にこれまで慣習的治療法では改善しないROM制限に対して治療を行い,これまでの関節拘縮治療における常識を超える治療効果を得たので報告する.【対象】本研究の対象は脳卒中などの中枢神経系疾患の29名および中枢神経系には障害のない筋骨格系疾患の42名の合計71名であった.その平均年齢は65.3歳(26歳から89歳)であった.これらの対象者全員はROM制限を有し,これまでにROM訓練やストレッチ療法などのROMの改善を試みる治療法を受けたが,その改善は示されなかった.【方法】実験は治療前のROMを測定し,その直後に治療を行い,またその直後に,ROM測定を行った.治療は以下の3種類を連続して行ったので,ROM測定は合計4回行った.治療は(1)慣習的治療法としてROM訓練(ストレッチ療法,または中枢神経系疾患には神経筋促通法)などを20分行い,ROMが改善しないことを確認した.その直後(2)ROM制限のある同じ脊髄神経分節の脊髄神経後枝(後枝)支配を受けている筋(脊柱や肋骨などに付着する筋)にMyoVibによる治療を20分行った.その直後(3)ROM制限を起こしていると思われる脊髄神経前枝(前枝)支配する筋,例えば膝の屈曲拘縮の場合は膝の伸筋群(大腿四頭筋)にMyoVibによる治療を20分行った.【結果】(1)従来のROM訓練およびストレッチ療法などによりROMの改善を示した者はいなかった(2)MyoVibを受けた70/71名にROMの改善がみられた.ROMの改善が見られなかった1名は関節強直であった(3)後枝で支配されている筋への治療によって筋骨格系疾患では41/42名が改善し(97.6%)ROM改善率は48%であった.中枢神経系疾患では17/29名が改善した(58.6%)ROM改善率は25%であった.両群のROM改善率の平均は41%であった(4)後枝支配筋治療の後,その前枝支配筋治療によって筋骨格系疾患では41/42名が改善し(97.6%)ROM改善率は71%であった.中枢神経系疾患では17/17名が改善し(100%)ROM改善率は42%であった.両群のROM改善率の平均は62%であった.後枝支配筋治療後,前枝支配筋治療にて変化のなしは筋骨格系疾患で1名(2%)中枢神経系疾患ではなかった.その後枝支配筋治療で変化せず,前枝支配筋治療で変化した者は筋骨格系疾患で1名(2%)中枢神経系疾患では12名(41.3%)であった.【考察】本研究の結果から,MyoVibはROM制限に対して顕著な効果があることがわかった.特に注目すべきことは四肢に全く触れることなく,後枝支配筋への治療にて四肢関節のROMに改善がみられることである.このことは,後枝支配筋と前枝支配筋が機能(反射)的に関連することを意味するものと考える.また,振動による筋弛緩効果のメカニズムは未だ明白になっておらず,臨床はもとより,基礎医学的研究による筋弛緩発現機序が解明されることが期待される.
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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