理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: HO063
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呼吸器疾患
脳卒中片麻痺患者における呼吸筋疲労に関する研究
健常老人、健常成人との比較
*曽根 理
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抄録

【はじめに】CVA患者における肺合併症は、その機能回復、維持を妨げるばかりでなく、生命にも関わる。臨床場面においても自己喀痰が困難であり常に吸引を必要としている状況の方も少なくない。そこで今回は脳卒中片麻痺患者の呼吸筋疲労の視点から、BurnsらによるTTdiの概念を応用したBTI(Ti/Ttot×TV/VC)をその指標とし、研究を行ったので報告する。【対象】対象は、当院に入院中であり、検査に協力可能な脳卒中片麻痺患者22名(CVA群)(平均72歳)、健常老人22名(健常老人群)(平均74歳)、健常成人18名(健常成人群)(平均28歳)の3群とした。【測定方法と項目】測定は、アイビジョン社製Meteorを用い、呼吸筋耐力予備評価システムにて解析した測定値を分析した。測定肢位は、椅坐位とした。測定は、セッティング後安静呼吸を1分行った後から計測を開始し、安定した6呼吸を解析し、1回換気量(TV)、全呼吸時間(Ttot)、吸気時間(Ti)の平均値を採択した。肺活量は、努力性肺活量(FVC)を採択した。又、CVA群は、BMI、総タンパク値(TP)、アルブミン値(ALB)最大随意咳嗽時最大呼気流速(PCF)、身体能力を5段階に分類(身体能力自立度)し、調査した。統計学的分析は、3群の差の検定は、一元配置分散分析。調査項目の相関は、Pearson、Spearman検定を用い、有意確率は0.05以下とした。【結果】各群のBTI値について以下に示す(結果1)。CVA群は0.13±0.07、健常老人群は0.08±0.04、健常成人群は0.04±0.03であり、p<0.01にて有意な差を認めた。BTIの時間的要素であるTi/Ttot、とTVは、各群間に有意な差を認めなかったが、TV/FVCは、CVA群は0.31±0.11、健常老人群は0.20±0.11、健常成人群は0.11±0.06であり、又、FVCはCVA群1.45±0.64L、健常老人群2.30±0.58L、健常成人群3.57±0.71Lといずれもp<0.01にて有意な差を認めた。CVA群に関するBTIと各調査項目の相関関係を以下に示す(結果2)。Ti/Ttot(r=0.63 ,p<0.01)、TV/FVC(r=0.78,p<0.01)、FVC(r=-0.56,p<0.01)にて有意な相関を認めたが、TV(r=-0.4)、TP(r=-0.09)、ALB(r=0.03)、BMI(r=0.26)、PCF(r=0.37)はBTIとの有意な相関は認めなかった。身体能力自立度(r=0.35,p=0.058)とは傾向は認めるものの有意ではなかった。【考察】BTIにおける3群の差の要因は、FVCにあるものと考えられ、FVCの低下がBTIの値を高め、つまり呼吸筋耐力を低下させていると考えられた。又、CVA群は、健常老人、健常成人に比べ呼吸筋耐力予備能が低下し、呼吸筋疲労をきたしやすい状況にあるものと考えられた。しかし、この原因と傾向を栄養状態、咳嗽能力、身体能力自立度から分析したが、関連を見出すには至らなかった。

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