理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: HO062
会議情報

呼吸器疾患
COPDに対する呼吸リハビリテーション6週間入院プログラムの施行
*戸津 喜典石川 朗大山 由紀石橋 功佐伯 一成大島 昌輝管野 敦哉河島 常裕
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】多職種が関与し、かつ多施設にて使用可能なCOPD患者に対する呼吸リハビリテーション6週間入院プログラムを作成し、7例に実施した。経過および結果について考察し、その有効性を検討する。
【プログラムの目的と内容】本プログラムの目的は、病態に対する意識を高め、運動の重要性や自己対処法を理解することである。また、運動耐容能の改善、QOLの向上であり、加えて症状の維持と急性増悪の予防である。
 内容は、理学療法士が運動療法主体の呼吸理学療法を指導し、医師が疾患や肺機能の説明、看護師がADL指導、管理栄養士が栄養指導、薬剤師が薬物指導を行う。呼吸理学療法の内容はリラクセーション、呼吸法訓練、胸郭可動域訓練、排痰訓練、運動療法(呼吸筋訓練、上・下肢筋力訓練、自転車エルゴメーター、歩行訓練、呼吸体操等)である。評価項目は肺気量、血液ガス(BGA)、6分間歩行距離試験(6MD)、平均歩行量、HRQOL(CRQ)等である。統計分析はMann-WhitneyのU検定を用いた。
【対象・結果】(*;P<0.05)
対象:7例(男性6例、女性1例)、平均年齢73.1±7.6歳。
GOLDの重症度分類;軽症:1例、中等症6例である。
初期:%VC80.3±27.4%、FEV1.0%44.8±6.8%、PaO263.8±10.9torr、PaCO251.7±10.6torr
6MD 315.0±31.7m、平均歩行量 3556.0±1899.8歩
CRQ:dyspnea   4.0±0.7、fatigue 5.8±2.4
emotional 6.7±2.1、mastery 7.0±2.6
最終: %VC84.2±21.8%、FEV1.0%44.0±9.3%、PaO265.5±13.5torr、PaCO246.3±5.5torr
6MD437.2±15.7m*、平均歩行量6201.8±2931.7歩
CRQ:dyspnea 6.5±1.7*、fatigue 8.2±1.1*
emotional 8.7±0.3*、mastery 8.5±1.1
【考察】今回の結果から肺気量、BGAについては著明な改善は見られないが、運動耐容能、CRQは有意に改善した。肺気量、BGAの結果から考えられることは、現状を維持できており、これまでの文献や欧米のガイドラインの報告に附随したものと思われる。運動耐容能の改善は運動療法の効果が示されたものと考え、QOLの向上は多職種が関与し、包括的にアプローチした効果が示されたものと思われる。また、CRQの結果から運動に対する意識の変化が明確となり呼吸困難や病態から受けるモチベーションの低下等を防止し、自制的に病態をコントロールできているものと考える。
著者関連情報
© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top