抄録
はじめに】当院では、2002年9月の開院当初より、チーム医療として積極的に上腹部外科患者の術後合併症予防に携わっている。リハビリテーション(以下リハビリ)科の役割としては、肺合併症の予防と早期離床を目的に、術前呼吸指導、術後呼吸管理、血栓症予防や、看護師へのリハビリケア教育などを行っている。今回、食道がん患者を例に、チームアプローチの紹介と、術後成績について検討したので報告する。【チームアプローチの紹介】スタッフは、食道外科医、リハビリ医、歯科・口腔外科医、外来・病棟・ICU看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士が担当する。患者は外来受診時、食道外科医の診察、病状・治療方針について説明を受けた後、外来看護師がパンフレットを用いて術前説明を行う。その際には術前の呼吸リハビリとして、リラクゼーション、腹式呼吸方法、自己排痰方法および呼吸訓練器(Coach2、DHD社製、米国)の使用方法もあわせて説明される。同時に、リハビリ科に依頼され、リハビリ医が術前評価し処方の後、理学療法士は呼吸状態、身体機能の評価と呼吸リハビリの実践指導を行う。入院後は、外来での指導が病棟でも引き継がれ、ホームプログラムのチェックや習熟度の把握を行い、手術前日まで継続したフォローが行われる。 術後ICU在室時は、排痰介助、Coach2の施行チェック、疼痛に対するリラクゼーション、血栓症の予防として、下肢の自動運動を実施している。また、術後スケジュールに沿って、座位から歩行への離床を援助する。 ICU退室後は、訓練室にて、全身コンディショニングを含めた体力回復訓練を、退院まで実施する。【対象と方法】対象は2002年9月6日の開院から11月6日までの2か月間に、入院し手術を受けた食道癌患者6名とした。その内訳は、男性6名、平均年齢65.3±11.3日(53から82)歳であった。術後の肺合併症、手術後の離床期間、入院期間を分析、また術前と術後リハビリ終了時の肺機能(肺活量と一秒量)を評価し、paired-t testで比較した。【結果】術後の肺合併症は6名中1名が肺炎疑いであったが、術後2日で軽快した。術後に座位可能までの期間は平均2.6±1.3日(1から4日)、歩行開始までの期間は平均4.3±1.9日(2から7日)であった。入院期間は平均27.0±7.7日(21から41日)であった。また、肺機能に関しては、術前を100%とした、術後リハビリ終了時の、%肺活量は54.6%、一秒量は66.1%と、術後で有意に低下していた。【考察】術後の平均離床期間が4.3日と短期であり、術後合併症の発生は低く、早期退院が達成されており、チームアプローチが有効に作用していたと考えられる。術後の呼吸機能については退院時でもまだ改善の余地があり、外来での継続フォローの必要性が示唆された。