理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: HP783
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呼吸器疾患
吸気筋・呼気筋トレーニングの単独効果ならびに併用した場合の効果
*佐々木 誠黒澤 一上月 正博
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抄録
【目的】呼吸理学療法の構成要素である呼吸筋トレーニングは,一般に吸気筋に対して行われている。しかし,呼吸筋疲労は吸気筋のみならず呼気筋においても生じると考えられており,呼気筋トレーニングの効果を証明しようとの試みがなされている。今回我々は,吸気筋トレーニング,呼気筋トレーニングそれぞれの単独の効果について検討するとともに,両トレーニングを併用した場合の効果についても検討したので報告する。【対象および方法】対象である健常若年女性48名を,吸気筋トレーニングを行うIMT群16名,呼気筋トレーニングを行うEMT群16名,両筋のトレーニングを行うI/E群8名,トレーニングを行わない対照群(NC群)8名にランダムに振り分けた。IMT群にはThreshold-IMTを使用して,最大吸気筋力の30%負荷で1日に15分を2回,吸気筋トレーニングをさせた。EMT群にはSouffleを用いて最大呼気筋力の30%負荷で1日に15分を2回,呼気筋トレーニングをさせた。I/E群には同一機材,同一負荷で,1日に一方を15分1回,他方を15分1回行わせた。トレーニング期間は2週間とし,NC群にはこの期間中トレーニングを行わせなかった。トレーニング前後で,呼吸筋力の測定,呼吸機能検査,トレッドミルによる漸増運動負荷試験を実施し,これによってトレーニング効果を判定した。【結果】呼吸筋力に関して,IMT群は吸気筋力(PImax)に加えて呼気筋力(PEmax)が増加した。EMT群はPEmaxのみが増加し,I/E群はPImaxのみが増加した。NC群では変化を認めなかった。呼吸機能については,いずれの群でもFVC,FEV1.0が変化しなかった。漸増運動負荷試験における各パラメータのstage upに伴う推移は,HRがIMT群でトレーニング前よりも低値であった。運動中の換気指標(V(dot)E,RR,TV)はいずれの群でも変化がなかった。V(dot)O2/kgは,IMT群とEMT群で低値となり,I/E群とNC群では変化を認めなかった。運動中の自覚的運動強度も同様に,IMT群とEMT群で低値となり,I/E群とNC群では変化しなかった。【考察】いずれの呼吸筋トレーニング方法においても呼吸筋の増強効果が認められたが,これは呼吸機能には反映されないものと考えられた。しかし,吸気筋トレーニングによって増強された吸気筋は,運動中の胸腔内圧の減少を助長し,これに伴う静脈環流量の増大によって一回拍出量を増やすためにHRを減じるものと考えられた。また,吸気筋トレーニングと呼気筋トレーニングはそれぞれ単独で,同一運動負荷時の酸素摂取量を減少させ,かつ,自覚的運動強度を低下させる効果があることが示唆された。この効果は,吸気筋トレーニングと呼気筋トレーニングを併用した場合には認められず,今回設定したトレーニング時間・頻度では,吸気筋,呼気筋それぞれへの刺激が単独トレーニングの半分となるために,十分ではなかったものと考えられた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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