理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: LO430
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スポーツ
足関節内反捻挫予防のためのシミュレーション分析
*岩本 久生小林 亜紀子板谷 麻美金澤 浩白川 泰山浦辺 幸夫寺坂 ヱ
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抄録
【目的】我々は足関節内反捻挫の運動学的分析を行い予防に役立てようと考えてきた。今回、足関節底屈位で内反捻挫のシミュレーションを行い、Kinematics分析と腓骨筋反応時間(PRT)を測定し両者の関係を調査した。【仮説】落し扉を用いた装置での捻挫のシミュレーション時に不安定性のある足関節では正常よりも外反動作が遅れて出現すると考えた。【対象と方法】対象は、不安定性のある群6名(男1名、女5名)を選び、不安定性のない群6名(男1名、女5名)を設定した。身長は160.9±7.2cm(平均値±標準偏差)、体重は53.3±7.0kgで年齢は24.0±1.9歳であった。突発的な内反をおこす装置として、ヒンジを用い30°の傾斜が得られる落し扉を使用したシミュレーション装置を製作し、踵部にくさびを入れ足関節底屈10°に設定することで最も多くみられる底屈位での内反捻挫に類似させた。Kinematics分析として直径5mmの反射マーカーを後方からLeg heel angle(LHA)を測定するために貼り付けた。対象者は耳栓をし、落し扉上に片脚立位を保ち、測定者が不意にロックをはずし突発的な内反をおこさせた。その動きを後方から高速カメラHAS-200R(Detect社製)を用い200コマ/秒で撮影し、外反開始時間とLHAの変化からみた内反角速度を測定した。PRTは、表面筋電図を用い長腓骨筋を測定した。安静立位時の筋電図の値を平均し、落し扉の落下開始から、その平均値の標準偏差の3倍に波形が達した時間をPRTとした。不安定性の有無による比較には対応のないt検定を用い、危険率5%未満を有意とした。【結果】(A)不安定性のある群と(B)不安定性のない群では、PRT(ms)は(A)58.8±8.7、(B)46.5±8.1、内反角速度(d/s)は(A)152.8±62.6、(B)83.2±38.4となり2群間に差がみられた(p<0.05)。外反開始時間(ms)は(A)154.2±20.8、(B)142.5±5.8となり2群間に差はみられなかった。【考察】本研究によりPRTは不安定性のある足関節で遅延することが伺え、先行研究と一致する結果となった。しかしながらPRTは先行研究よりも全体的に早くなり、これは足関節底屈位により距腿関節での距骨の不安定性が増し、これに腓骨筋が早期に反応したためと推察した。外反開始時間において足関節不安定性の有無で差がないことから仮説は棄却され、不安定性に関係なく外反動作は同時期に出現することが分かった。これに加え内反角速度が不安定性のある足関節で有意に速く、突発的な落下に対し急激に内反していくことが伺えたことで、内反捻挫では外反動作を早期に出現させるよりも、内反角速度を抑制するような腓骨筋の収縮が重要であると考えられた。これらの知見を今後の足関節内反捻挫予防のための基礎資料としていきたい。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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