抄録
【目的】ジャンプ着地時に下肢運動がOKCからCKCに移行する際、足部アーチが過剰な低下を繰り返し、スポーツ外傷が引き起こされることがある。今回、ジャンプ着地時に足部アーチ高の指標となる舟状骨の低下が著しいものの中足骨底の低下と筋活動の時期が、そうではないものと比較してどのような傾向を示すか分析することを目的とした。【方法】下肢に既往のない女性に対し、両足でジャンプし右足で着地させた。第1中足骨底、舟状骨結節にマーキングを行い、Ditect社製高速度CCDカメラHas200Rを使用して足部内側面から撮影した。足部アーチの変化はアーチ高率(大久保ら、1989)の値と、第1中足骨底の内側中央部の高さを足長で除した値に100をかけて算出して独自の方法とし、これを舟状骨高、中足骨高とした。着地動作の最大踏み込み時に舟状骨高が最低になることが確認できたため、最大踏み込み時の舟状骨高の低下が著しい9名(変化群)と、変化が少ない8名(非変化群)を年齢、身長、体重が片寄らない範囲で選んだ。変化群は年齢23.4±1.3歳、身長157.4±2.2cm、体重50.8±6.0kg、非変化群は年齢23.8±2.3歳、身長157.3±3.2cm、体重50.9±6.7kgであった。同時に表面筋電図を使用して前脛骨筋と後脛骨筋の筋活動を記録し、筋活動が起こる時期を測定した。【結果】足尖接地から最大踏み込みまでの舟状骨高の変化量は変化群で13.0±2.5、非変化群で7.9±1.7であった(p<0.01)。中足骨高の変化量は変化群で9.0±1.8、非変化群で6.3±1.5であり有意差が認められた(p<0.05)。前脛骨筋の筋活動は変化群で足尖接地の173.3±75.3msec前から、非変化群で176.3±157.1msec前からみられた。後脛骨筋の筋活動は変化群で足尖接地の120.0±55.9msec前から、非変化群で121.2±126.0msec前からみられた。【考察】今回の分析で、変化群では足部アーチの低下に伴い中足骨高も同様に大きく低下することが示された。これまでの研究ではアーチの変化は舟状骨高のみで評価されることが多かったが、今回中足骨高の低下と連動していることで、前足部との運動連鎖が確認できた。筋電図から、変化群では前脛骨筋、後脛骨筋の筋活動がみられなかったり遅延したりすることで足部アーチを保持できずに低下していくのではないかと考えていたが、逆に非変化群と比較してばらつきが少なくさらに接地前に開始しているという興味深い知見が得られた。