理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: LO434
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スポーツ
初期腰椎分離症の理学療法
順調に回復し早期スポーツ復帰が可能であった一症例
*小原 弘行生野 貴義渡邊 和美杉浦 史郎豊岡 毅鈴木 博子西川 悟木下 知明
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抄録
【はじめに】 以前,腰椎分離症は,X線検査で分離が鮮明になるまで確定診断されなかった.理学療法に関しては,X線検査・CTで分離症と診断がついたものに対しての報告が数多く認められている.しかし,近年では磁気共鳴画像(以下,MRI)の発達により初期腰椎分離段階で診断が可能となったが,初期腰椎分離症に対する報告はごくわずかでしかない.そこで今回我々は,初期腰椎分離症に対する理学療法を実施したので報告する.【症例】 16歳(高校1年生),男性,身長167cm,体重52kg,部活はサッカー部である.【経過】 平成13年10月17日練習中に腰痛出現.24日当院受診,X線検査上異常は認められなかった.25日MRIにて右第5腰椎関節突起間部にT1画像低輝度・脂肪抑制画像高輝度(以下,炎症所見)が認められ,初期腰椎分離症と診断される.同日簡易コルセット処方,医師より運動中止の指示となる. 運動中止より2週後,腰椎軟性コルセット完成.処方.3週後,理学療法開始.この時点で腰痛は軽減,第5腰椎棘突起叩打痛は消失,日常生活も問題はなかった.患者と話し合った結果,初診より3ヶ月間,体育を含めた運動の中止となる.11週後,MRIにて再検査.炎症所見の明らかな改善が認められたため,ジョギング開始とした.12週後,スポーツ用腰椎コルセット処方の上で完全復帰となる.その後,経過観察より,疼痛の再発なく現在に至っている. 理学療法は,腰痛軽減期より運動療法を中心とした等尺性収縮訓練から開始し,徐々に等張性収縮訓練へと移行した.併せて,脚部のストレッチを行った.【考察】 諸家の報告では,MRIにて腰椎関節突起間部のT1画像低輝度が発見された時点より,3ヶ月から6ヶ月間,硬性コルセットでの安静固定が必要と述べている.しかし,長期安静が体力の低下を招き,スポーツ復帰の遅延の原因となることや,運動中止に対する精神的ストレスの増加が患者にとって大きな負担となっていた. 本症例では,軟性コルセットでの3ヶ月間の固定であるにもかかわらず,早期からスポーツに復帰し,予後も良好であった.これは1)軟性コルセットでも十分な固定力があること2)早期から分離部に負担のかからない運動療法を行ったことにより,体力の低下・精神的ストレスといったスポーツ復帰の遅延因子を除外できたためと考えられる.
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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