理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: BP122
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運動・神経生理
高齢者に対するグループ・レジスタンス・トレーニングの効果
*菅原 道俊富田 正身
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抄録

【はじめに】高齢者に対してレジスタンス・トレーニング(RT)を積極的に取り入れることにより、筋力の向上を図ることができ、その結果として日常の身体動作機能が向上するということが言われており、当院でもマンツーマンの訓練ではある程度の効果をあげてきた。しかし、高齢者の中にはRTに対しての動機付けが難しいケースが多いのも事実である。そこで、このRTをグループ訓練として展開したところ、トレーニングへの継続的参加と身体機能面に対して、ある程度の結果を得たので報告する。【方法】(1)スケジュール:超回復の理論より、同一種目のトレーニングが連続しないよう、週間スケジュールを以下のように設定した。月曜日・木曜日:上肢のRT、火曜日・金曜日:下肢のRT、水曜日:アセスメント、土曜日:バランス訓練もしくはアセスメントの予備日、(2)RT内容:坐位でできるトレーニング種目に限定、負荷には、自重、徒手抵抗、チューブ、セラバンド、ダンベル、アンクル・ウェイトを用い、原則として、求心性収縮、等尺性収縮、遠心性収縮に、それぞれ2秒、2秒、4秒かけ、1セット10回ずつ行った。1回のセッションは、ウオーミングアップ、RT、クールダウンの流れで30分間の構成とした。(3)アセスメント内容:Senior Fitness Test(SFT)、Strength Activity Tolerance(SAT)(アームカールテストは、負荷量を一部改変)、360°ターン、Leg Extension、握力、(4)対象者:当院入院中の患者で、椅子もしくは車椅子に座れる方で、基本的に自由参加とした。(5)場所:病棟ホール(6)期間:平成14年3月から8月までの6ヶ月間を調査期間とした。【結果と考察】1回のセッションへの参加者は、6ヶ月間を通し、毎回20名前後の参加を得た。アセスメントの結果では、ほとんどの項目で全体の平均値が向上しており、個人別に見ても、2/3以上が維持もしくは向上の経過を示した。また、移動に関しても車椅子から歩行器歩行へ移行する患者も出始めてきており、ADLの機能向上にもつながってきている。これらのことから、継続してRTに参加することが、動作機能の維持改善に有効であることが推察された。【結論】RTの継続が高齢者の動作機能の維持改善に有効であることが確認された。また、グループで行うことと、参加者にアセスメントの結果を示すことにより、参加継続への動機付けが強化されたようで、病棟内患者間のコミュニケーションの場としても機能してきたようである。従来の個別対応中心のリハでは、移動手段を獲得して終了となるようなケースでも、その能力を維持する場として、グループRTは有効に機能しており、当院のような長期療養型の病院では、このグループRTが有用であるといえるのではないだろうか。

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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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