抄録
【はじめに】 我々は屈膝臥位における股外転運動(所謂、開排運動)の筋力増強効果を調べるため、開排運動時の下肢筋活動を表面筋電計を用い測定し、第33回日本理学療法学術大会にて報告した。今回は開排運動の筋力増強訓練を実際に行い、その効果について調べたので報告する。【対象】 対象は健常成人36名(男性26名、女性10名)であった。これらをA群(屈膝臥位での開排運動を行う群)14名、B群(仰臥位での股外転運動を行う群)13名およびC群(非訓練群)9名の3群に分けた。【方法と解析】 筋力増強訓練はA群では屈膝臥位にて開排運動を、B群は仰臥位にて股外転運動を最大等尺性随意収縮(以下MVC)にて両側性に行なわせた。抵抗として非伸縮性のベルトを用いた。訓練は5秒間のMVCを10秒間の休息を挟みながら30回実施し、週に3日、7週間実施した。筋力測定は股関節屈曲・伸展・外転・内転について、角速度60度および30度での等速性筋力と等尺性筋力を測定した。測定には川崎重工社製等速度筋力測定器MYORET RZ-450を用いた。 解析は各群の開始時と終了時の筋力測定の結果よりWilcoxonの符号付順位検定を用い、各運動について比較した。また、筋力の増加率を開始時と終了時の筋力より求めた。【結果】 A群(屈膝臥位での開排運動群)では、角速度60度での伸展と外転筋力および角速度30度での伸展筋力が有意に増加をしており(P<0.01)、角速度60度での内転筋力と角速度30度での外転筋力および最大等尺性伸展筋力と外転筋力で有意な差(P<0.05)を認めた。B群では角速度60度、30度および最大等尺性筋力にて外転筋力に有意な差(P<0.05)を認めた。C群では筋力が有意に増加を示したものはなかった。また、筋力の増加率は有意に増加を示した運動では平均約15%程度を認め、増加を示さなかった運動は約2%にとどまった。有意に増加した筋群では、筋力の増加率も高いことが伺えた。【まとめ】1)屈膝臥位での開排運動における筋力増強効果について仰臥位での股外転運動群と比較、調査した。2)開排運動においては伸展・外転筋力に、総じて増加が認められた。3)屈膝臥位での開排運動では仰臥位での外転運動群と比較し、股外転筋群に加え大殿筋などの伸筋群の筋力増強効果も期待できることが示唆された。