理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NP637
会議情報

測定・評価
高齢者における閉運動連鎖下肢伸展力の特性
*岸田 奈瑠美岡田 育子松尾 高行高橋 悦子妹尾 弘幸三谷 真史内田 励喜河村 顕治
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】高齢化とともに症例の急増している変形性膝関節症や、人工膝関節などの整形外科的手術後の筋力評価では、従来の大腿四頭筋の単独収縮による開運動連鎖型評価よりも下肢全体を機能的に評価する閉運動連鎖を利用した評価が適していると考えられる。そこで本研究は、高齢男性と若年成人男性について従来の開運動連鎖での筋力評価とともに閉運動連鎖筋力評価を行い比較検討した。さらに高齢者の立位歩行能力と閉運動連鎖下肢伸展力の評価を行った。【対象及び方法】1)若年成人男性10名(21.9±1.6歳)と高齢男性10名(81.8 ± 7.6歳)を対象に開運動連鎖膝伸展・屈曲筋力および閉運動連鎖下肢伸展力を評価した。開運動連鎖での膝伸展・屈曲は大腿四頭筋筋力評価装置(オージー技研)の通常の設定で計測を行った。閉運動連鎖下肢伸展力は、大腿四頭筋筋力評価装置にロードセルを設置したフットプレートを装着し、座位で骨盤をベルトで固定した上で膝屈曲60度で右足部を固定し計測を行った。2)無作為に抽出されたデイケアに通う歩行可能な高齢者 30 名 ( 76.8±5.4歳 ) を対象に Isoforce GT-330 (オージー技研)を用いて開運動連鎖および閉運動連鎖での筋力評価及び、立位歩行能力を検討するためにTimed UP & GO Test ( TUGT )を行った。【結果】1)健常若年成人男性と高齢男性の比較では体重で正規化した平均値で高齢者筋力の若年者筋力に対する比率は開運動連鎖膝伸展・屈曲でそれぞれ、29.6 %、45.7 %、閉運動連鎖下肢伸展では22.2 %であった。閉運動連鎖での足部出力方向は若年者では下腿軸に対し股関節から足部に向かう 30.2 ± 4.8 度であったのに対して、高齢者では 21.3 ± 7.0 度であった。2)高齢者の閉運動連鎖下肢伸展力は、25.4 ± 12.0 kg であり、体重に対して約 50 % の値に止まった。また、TUGTの値は、15.8 ± 6.6 秒であった。【考察】若年者と比較した高齢者の筋力評価の結果からは膝伸筋の筋力低下が著明であり、それ以上に閉運動連鎖での下肢伸展力が低下していた。また、閉運動連鎖での足部出力方向が膝関節よりに変化したのは膝屈筋に比較して膝伸筋の筋力低下が大きかったためと考えられる。臨床的に移動能力を予測する目安としてのTUGTの値が20秒以内であれば、屋外外出可能である。そのレベルであったにも拘わらず、高齢者の自動運動としての閉運動連鎖下肢伸展力は体重の約50 %であった。高齢者においては 下肢全体を協調して出力する閉運動連鎖下肢伸展力の低下が問題であり、閉運動連鎖でのトレーニングが有効と思われる。
著者関連情報
© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top