理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: NP638
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測定・評価
足趾把握筋力の検討
第1報
*半田 幸子山本 良一芝原 庸吉本 有希子青木 和夫
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キーワード: 筋力, 足趾把握筋力, 加齢
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抄録
【目的】  人が立位姿勢を保持する際、足部は唯一地面に接する部位である。宮崎は足根骨や中足骨はその解剖学的構成からして、単独で運動することは事実上不可能であり、足趾のみが比較的自由で巧緻性のある運動能力を持っていると述べている。足趾は立位・歩行時の安定性に関与していることが報告されている。足趾・足底訓練による足趾把握筋の強化が、下肢運動機能や姿勢制御に機能の改善に効果がある報告や高齢者の転倒予防への関連性が示唆される報告等がなされているが、足趾把握筋力そのものの検討は少ない。足趾把握筋力の特性を明らかにするための基礎研究として、今回は各年代を対象に足趾把握筋力を測定し、その変化等を検討した。 【対象および方法】  対象は97名(男性45名、女性52名)で年代内訳は20歳代19名(男性9名、女性10名)、30歳代25名(男性10名、女性15名)、40歳代10名(男性5名、女性5名)、50歳代16名(男性9名、女性7名)、60歳代15名(男性9名、女性7名)、70歳代12名(男性6名、女性9名)で、日常生活に特に支障のない運動機能を有する者とした。被検者には口頭にて実験の主旨を説明し同意を得た。足趾把握筋力の測定には、市販されているスメドレー式握力計を利用し作製した測定器を用いた。作製にあたっては三輪らの測定器を参考とした。坐位にて膝関節90度屈曲位・足関節底背屈0度の肢位にて、足趾でバーを把持し測定した。測定者は同一人物とした。各5回測定しその平均を値とした。 【結果および考察】  足趾把握筋力の年代別平均は、20歳代12.3kg、30歳代12.1kg、40歳代11.1kg、50歳代8.5kg、60歳代7.8kg、70歳代6.2kgであった。20・30歳代ではほとんど差がなく、50歳代で低下の割合が高くなり、70歳代では20歳代の50%に低下していた。筋力の加齢に伴う変化についての先行研究では、筋力は30歳代から定常もしくは低下し始め、30から80歳代までの間で約30から40%低下すると報告されているが、今回の測定においても同様な傾向が認められた。男女別では、男性では30歳代が最高で20・40歳代では殆ど差がなく50歳代以降で低下し70歳代で最低値を示した。女性では20歳代が最高で30歳代とほとんど差がなく、50歳代で低下し70歳代まで殆ど変化がなかった。男女の比率では20から60歳代までは女性は男性の60から70%で、70歳代では約90%と男女比が縮まる傾向が認められた。これらの結果から、足趾把握筋力強化は高齢者の転倒予防などの臨床に応用できうると考える。そこで今後さらに測定器の改良を進めるとともに、他の筋力および姿勢との関連について検討していきたい。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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