理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: PO500
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地域リハビリテーション
介護認定審査会における理学療法士の役割
理学療法士と他職種との比較
*萩原 文子隆島 研吾
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抄録

【はじめに】昨年本学会において、介護認定審査会における理学療法士(以下PT)の役割について、PT自身がどのように考えているかを調査し報告した。今回はPT以外の職種に対して同様の調査を行い、PTとの比較を行ったので報告する。【対象と方法】調査への協力を得られた職能団体(川崎市歯科医師会・神奈川県社会福祉士会・川崎市薬剤師会)および個人66名に対し質問紙による調査を行った。質問紙は昨年使用した物を内容が同一になるように他職種用に一部修正した。調査内容はPTの役割と必要性、PTの意見が判定に与える影響の程度、審査会委員として必要な知識、審査会委員就任のメリットとデメリット等である。回答方法は各々「絶対必要」から「必要ない」までの5件法、Visual Analogue Scale(以下VAS)及び自由記載である。【結果】回答は46名(歯科医師7名、薬剤師21名、社会福祉士14名、その他4名)で回収率70%であった。所属合議体へのPTの有無については有8名、無37名であった。回答のうちPTの役割については必要(やや必要含)の割合が「麻痺・拘縮」「移動」「機能的予後予測」では両者とも70%以上、「障害像の把握」「疾病機能判断」はPT80%以上であったが他職種は60%以下であった(χ検定P<0.05)。PTの必要性は「機能面からの介護必要性指摘」が共に70%以上であり、「疾病による機能判断」はPT89%、他職種51%(P<0.01)であった。PTの意見が判定に与える影響はVASでPT66.23、他職種61.49(PT有73.63、PT無58.29)であったが、有意差は見られなかった。審査委員として必要な知識は全般的にPTの方が高い傾向であったが「医学的リハ」「他の福祉制度」「介護予防」は有意に高かった(P<0.05)。審査委員としてのメリットは「他施設との情報交換ができる」がPT78%、他職種26%(P<0.05)、デメリットは両者とも準備の負担をあげており、PTは審査会自体の負担を他職種は報酬についての不満が高かったが有意差は認めなかった。【考察】PTの役割については昨年PT対象に行った調査と同様に他職種も、主に「機能面からの介護必要性についての指摘」が高くPTの業務内容としても妥当と思われた。ただし、「疾病による機能判断」についてはPTの方が高く、違いを見せていた。VASによるPTの影響について有意差はないものの、PTがいる合議体ではPTに対する認識は高いと言えよう。今回の調査はその制約から一部の職種への偏りがあることは否めないが、現段階では検討に値するものと考える。今回の結果は、他職種からみたPTの役割がPT自身と大きく違ってはいないものと思われる。したがって、その必要性も高いと考え、今後更なる参加が期待されているものと思われた。

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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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