理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: QP622
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調査・統計
当院回復期リハビリテーション病棟におけるADL格差と病棟訓練について
*梅岡 泉福井 義仁岡島 直子岡村 康子岩井 信彦高田 綾子南石 寿恵千崎 博美青柳 陽一郎
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抄録
【はじめに】当院では平成13年11月より回復期リハビリテーション病棟を開設した。当病棟では看護・介護職と連携し,「できるADL」と「しているADL」の格差短縮を目指し病棟訓練に取り組んでいる。今回,入棟時・退院時のADLについて評価し,「できるADL」「しているADL」の格差について若干の知見を得たので報告する。【対象と方法】平成14年1月から11月に当病棟を退院した脳血管障害患者34名(男性19名,女性15名)に機能的自立度評価表(FIM)を用いADL評価を行った。食事,整容,移乗の項目において入棟時の「できるADL」(以下X),「しているADL」(以下Y),退院時のX,Yの平均値,X,Yの解離率(全介助者を除く)を求めADL格差について検討した。【結果】FIM一般項目の平均値は入棟時X:45±24,Y:40±25、退院時X:56±27,Y:52±29であった。各項目別では,食事入棟時X:4.9±2.2,Y:4.6±2.3,退院時X:5.6±2.0,Y:5.6±1.9,整容入棟時X:4.1±2.3,Y:3.6±2.2,退院時X:4.9±2.3,Y:4.4±2.2,移乗(ベッド,椅子,車椅子)入棟時X:4.2±1.8,Y:3.8±1.9,退院時X:5.5±1.7,Y:4.6±2.0,移乗(トイレ)入棟時X:4.3±1.8,Y:3.8±2.1,退院時X:5.7±1.5,Y:5.4±1.9,移乗(浴槽,シャワー)入棟時X:3.6±2.1,Y:2.7±2.1,退院時X:5.1±1.6,Y:4.1±1.9であった。食事,整容,ベッド・トイレ移乗の解離率は退院時に減少したが(それぞれ33%→4%,96%→33%,38%→26%,41%→21%),浴槽移乗項目においては増加した(50%→61%)。【考察】浴槽移乗以外の項目において平均値の向上,解離率の減少がみられた。当病棟では朝の洗面誘導,食後の歯磨き誘導,病室,トイレでの移乗動作誘導などは看護・介護職を中心に積極的に施行している。特に食事,整容,ベッド・トイレ移乗は,療法士が患者の変化点や遂行においての工夫点などを看護・介護職に示し,時間帯・方法などを定めて行っている。大川らはADL能力を向上させるには,習慣としての定着化が重要と指摘している。病棟訓練という形態が病棟スタッフにより行われることで習慣化し,訓練ではなく日常的な動作という意識づけがなされ,ADL向上に結びついたと考えられる。一方,浴槽移乗に関しては平均値はともに上昇したものの,「できるADL」「しているADL」の格差は増加した。入浴動作は他の項目に比べ,実際の生活の場で遂行される動作としては比較的頻度が低い。その結果,病棟での「習慣化」が図りにくかったことが原因と思われた。【まとめ】今回の調査では,看護・介護職が多く関与しているADL格差は小さいことが分かった。実際に行われる動作へ繋げるには看護・介護職の役割の重要性が再認識された。療法士は患者のリスク・安全性を把握し,看護・介護職へ情報提供することが「しているADL」遂行への橋渡しとなり,ADLの習慣化が図れると考えられた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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