理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: QP621
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回復期リハビリテーション病棟における転帰の検討
*浅川 育世安岡 利一栗田 英明原田 光明佐々木 久美子可児 佑子
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抄録
[目的]回復期リハビリテーション病棟(以下回復期リハ病棟)の大きな目的の一つに家庭復帰がある。当院は平成12年10月に成人病棟1棟(45床)に回復期リハ病棟を導入した。当院回復期リハ病棟導入前後(平成11年8月から9月および平成13年の同月)での入院患者について諸データを比較検討したところ、回復期リハ病棟導入後に自宅退院率の低下が見られた。このことは対象疾患の変化や発症から当院退院までの期間の短縮などに原因があるものと考えられた。そこで今回、回復期リハ病棟退院時に自宅退院を阻害する要因の検討を行ったので報告する。[対象と方法]対象は平成13年度に当院回復期リハ病棟に入院しリハビリテーション実施後退院した全患者102名のうち、廃用での入院を除く回復期リハ病棟対象患者89名(男性58名、女性31名、平均年齢55.7±16歳)とした。電子データおよび診療録から年齢、性別、入院期間、発症から当院退院までの期間、疾患名、配偶者の有無、退院先、FIM各得点(入院時および退院時)を抽出した。これらのデータより転帰先を自宅と転院(施設入所も含む)の2群に分けそれぞれの項目との比較を行った。性別、疾患名、配偶者の有無についてはχ2乗検定を行い、他の項目の検定には等分散の検定を行った後、等分散と判定されたものはt検定、それ以外の項目についてはWelchの補正によるt検定を行った。なお、有意水準はそれぞれ1%未満とした。[結果]入院時FIM(食事、トイレ動作、排便、トイレ移動)、退院時FIM(食事、トイレ動作、排尿、社会的交流)の各得点において自宅退院群の方が有意に高値であった。また、退院時のFIM総得点においても自宅退院群は転院群に比べ有意に高値であった。その他の項目について有意差は認められなかった。[考察]FIMは運動項目と認知項目から構成される。本研究では運動項目の得点が自宅退院に影響を及ぼすことが示唆された。更に運動項目の中ではセルフケアに関する6項目中、食事、トイレ動作の2項目と、排泄コントロールに関する2項目(排尿、排便)に有意な差が見られ、移乗及び移動に関する5項目については入院時のトイレ移動のみ有意差が見られた。摂食や排泄といった動作活動に有意差が見られたものの、これらに対するアプローチには限界がある。一方で他のFIM項目では差がなかったことから「しているADL」を重要視する回復期リハ病棟において適切なアプローチが展開されたものと考える。今後は自宅退院とならなかった症例に対し個々の検討が必要となるが、より自宅退院率を高めていくためには、ADLに直接反映できるようなアプローチを展開し、ADL能力を高めていくことが大切かと考えられた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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