理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: QP791
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PT学会における表面筋電図研究の現状
*深谷 直子下野 俊哉古川 公宣
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抄録
【はじめに】 現在,表面筋電図(以下sEMG)は様々な研究において用いられている.我々の理学療法研究においても筋機能評価やエクササイズとしてsEMGは頻繁に使用されている.今回,過去の日本理学療法士学会(日本理学療法学術大会,以下PT学会)において発表された演題より,sEMGの研究動向を探るため調査したので報告する.【方法】 1993年から2002年の10年間のPT学会演題抄録集より調査を行った.調査は誘発筋電図を除く表面筋電図とし,ヒトを対象とした研究とした.すべての演題よりsEMGを用いた研究数,分野,研究対象,目的,計測筋,計測方法などを調査した.【結果】 過去10年間における全演題数5928題中,sEMGを用いた演題数は472題で,毎年約6%から10%,平均8%であった.演題分類別にみると運動学110題,測定・評価94題,運動・神経生理78題と基礎研究分野が大半を占めており,次いで骨関節疾患66題,成人中枢神経疾患42題の順であった.特に過去3年間では産業労務管理やスポーツ分野での増加が顕著であった.研究対象では健常者が385題,約70_%_と最も多く,次いで片麻痺58題,ACL損傷患者14題,変形性股関節症患者14題,腰痛患者12題などであった.研究目的別では量的因子(活動量・疲労・パターン)を捉えたものが約78%,周波数因子(疲労・筋特性)が約14%,時間的因子(反応性など)が約8%であった.計測筋についてみると上肢では上腕二頭筋と三角筋,下肢では大腿四頭筋,体幹では腰背筋,腹筋群が多かった.特に体幹筋は過去3年間で研究数が著明に増加していた.sEMGの計測方法は屈伸など単純な関節運動が最も多く,次いで歩行,立位,立ち上がり,ペダリングなどの動的動作が54.7%,静的動作は43.4%であった.また多くの場合,量的解析には積分値が,周波数解析には平均周波数が,時間的解析には筋反応時間が用いられていた.正規化については約60%が%MVCで,残りは異なる動作や計測開始時,左右比較などであった.外部からの同期シグナルとしてはフットスイッチやエレクトロゴニオメーターが最も多く使用されていた.【考察】 過去10年間の理学療法研究分野におけるsEMG研究をみると,研究分野や目的など片寄りはみられるものの,新しい分野での研究も近年増加しており研究範囲そのものは拡大してきていると思われた.そのことはsEMG機器の発展,すなわちモーションアーチファクトなどに対する精度が向上したこと,より簡便に計測可能となりコンピュータ等を用いて詳細な評価ができるようになったことなども要因の一つと考えられた.今回文字数の制限がある抄録からの調査であるため不十分な点もあるが理学療法分野におけるsEMG研究の現状を把握することができた.
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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