理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: QP718
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調査・統計
家族の考える「患者の歩行」について
*草苅 尚志武田 智子福田 重雄高橋 和大林崎 晴美菊池 由紀恵斎藤 春代下斗米 貴子
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キーワード: 家族, 歩行, 意識調査
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抄録
【はじめに】第36・37回日本理学療法学術大会において、我々は脳卒中片麻痺患者(以下患者)、理学療法士(以下PT)の考える「歩行」について検討を行い、患者、PTの歩行に対する考えを確認することができた。そこで、今回は、退院後に実際の介護者となる家族が考える「歩行」についてアンケート調査を行い、患者、PTが考える「歩行」と若干比較検討したので報告する。【対象と方法】当院にて理学療法を施行している患者の家族108名、うち入院している患者の家族(以下入院Fa)40名、通院している患者の家族(以下通院Fa)68名にアンケート用紙を送り回答を求めた。回答率は入院Fa19名(回答率47.5%)、回答者は配偶者10名、息子・娘7名、嫁2名。通院Fa49名(回答率72.1%)、回答者は配偶者35名、息子・娘9名、嫁3名、親2名であった。質問内容は(1)歩行距離、(2)自助具の使用(複数回答)、(3)介助量について質問し、家族の考える歩行について比較検討した。【結果】(1)について、入院Faでは車椅子でトイレまで行ける、ベッド周囲を歩けるようになるが9名(47.4%)、通院Faでは散歩が20名(40.8%)、家の中はほとんどの所へ行ける、家庭内では車椅子を使わずに生活できるが24名(49.0%)であった。(2)について、入院Faでは杖16名(84.2%)、手すり13名(68.4%)、装具11名(57.9%)、歩行器10名(52.6%)、通院Faでは杖39名(79.6%)、手すり27名(55.1%)、装具21名(42.9%)、歩行器、車椅子は13名(26.5%)であった。(3)について、入院Faでは介助あり11名(57.9%)、介助なし7名(36.8%)、通院Faでは介助あり5名(10.2%)、介助なし35名(71.4%)であった。【考察】入院Faでは、車椅子に独力で移乗し、トイレに行けるようになることが重要と考え、「歩けるようになる」というよりは「移動できるようになる」ことを必要にしていると思われた。また、自助具としては杖を使用しても良いとの回答が最も多く、介助されながらでも歩けることを「歩行」と考えていた。通院Faでは、車椅子を使用せず、家庭内、屋外を手すり、杖を使用してでも独立して歩けるようになることを「歩行」と考えているように思われた。家族、患者、PT間での比較について、入院患者、PTともトイレまで歩けるようになると回答し、「トイレまでの移動」という点では入院Faと共通していた。自助具は患者、PTとも杖が多く、入院、通院Faと共通しており、通院患者、通院Faで歩行器、車椅子の使用について回答が少なかった点も共通していた。介助量は、入院患者が介助ありと回答し、入院Faと共通していたが、PTは監視、介助なしとの回答が多く、考えに違いがみられた。以上の結果から、確実な移乗能力、トイレまでの移動手段を獲得していく事が自宅退院への第一歩と推察され、退院後は自助具を考慮し、独力で歩けることを家族は望んでいるものと考えられた。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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