理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: QP793
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調査・統計
ジャマイカの青年海外協力隊における理学療法士の活動に関する調査
*大澤 諭樹彦安江 律子長山 彩
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抄録
【はじめに】青年海外協力隊(以後、協力隊)による理学療法士(以後、PT)の派遣は1979年に始まり、2002年までに世界50カ国、139名を数える。派遣国の増加に伴い、各国固有の問題に対応した活動が求められている。しかし、PTの派遣実績を国別で系統的に分析し、検討した研究は少ない。著者はこれまでにマラウイ共和国、マレーシアの派遣状況を調査してきた。そこで今回、中米に位置するジャマイカの協力隊PTの活動を調査したので報告する。【方法】ジャマイカに協力隊のPTが派遣された1990年から2002年までの13年間に亘る協力隊隊員報告書(国際協力事業団所蔵)を分析した。【結果と考察】ジャマイカ人の国内PT数は約50名で、PT養成校数は3年制が1校のみであった。国内の作業療法士数は3名で、作業療法士養成校はなかった。  協力隊PTの派遣数は2002年までに8名を数え、男性3名、女性5名であった。配属先は地方の基幹病院である3カ所の保健省管轄の公立病院であった(ベッド数150床から480床)。ジャマイカ人のPTは、給料の高い私立病院、または開業や海外へ就職する傾向があり、公立病院のPT不足を補う役割を協力隊に期待していることが推測された。協力隊の活動内容は、病院内における理学療法が主な業務であった。対象となる疾患は、骨折等の整形疾患、脳卒中等の中枢神経疾患、喘息、COPD等の呼吸器疾患であった。臨床活動の他には、理学療法室の管理運営、患者や病院スタッフへの理学療法の啓発活動、保健省への月間報告業務、さらに理学療法機器の充実を図る物的支援活動も行っていた。また、ジャマイカ理学療法士協会主催による学会や会議に出席して、現地のPTとの交流も活発に行っていた。 派遣先の3病院中、サブラマー公立病院(ベット数144床)の理学療法業務は1994年に協力隊PTによって再開設され、2002年までに4名の協力隊が2年ずつの活動を継続して病院内理学療法の基礎を築いていた。また、協力隊PTにより作業療法士の派遣要請が申請され、2001年から協力隊作業療法士の派遣がジャマイカで開始されていた。以上のことから、13年間の協力隊PTの活動が、ジャマイカのリハビリテーション分野の基盤作りに大きく貢献してきたことが窺われた。 しかし、近年PT協力隊派遣がジャマイカの自助努力の意識を低下させているのではないかという危惧から、派遣継続の是非が報告書の中で示されていた。協力隊のPT派遣が継続して行われている国は他にも多いため、同様の問題は他国においても生じていると推測される。そのため今後は、長期的な国際協力の効果を評価する重要性が本調査から示唆された。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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