理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: QP799
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調査・統計
当院でのクリティカルパス導入による変化と理学療法士の役割
*平田 順一平田 正純並河 孝大原 ともみ松尾 洋史西山 直樹柴田 奈緒美大橋 潤一辻村 源司郎槻本 康人
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抄録
【はじめに】当院では平成13年4月よりクリティカルパス(以下パス)の運用を開始し、現在一年半が経過する。今回パス導入前後の術後在院日数の変化と、使用経験を通して作成段階からの理学療法士(以下PT)の役割を報告する。【対象と方法】対象は当院にてパス導入前の平成12年4月から平成13年3月までに加療した大腿骨頚部骨折36例(男性5例、女性31例、平均年齢80.1歳)、導入後の平成13年4月から平成14年3月に加療した57例(男性9例、女性48例、平均年齢81.5歳)である。治療内容は人工骨頭置換術(導入前9例、導入後32例)、CHS(Compression Hip Screw) による骨接合術(導入前9例、導入後8例)、PFN(Proximal Femoral Nail)による骨接合術(導入前12例、導入後11例)、ピンニング(導入前6例、導入後6例)であった。作成したパスを用いて術後在院日数、及び一日あたりの保険請求点数をパス導入前後で比較検討した。【結果と考察】術後在院日数は導入前60.4日から導入後48.1日と有意に短縮した(P<0.05)。一日あたりの保険請求点数は3,411点から3,670点に増加した。パス導入により術後在院日数の短縮、1日あたりの保険請求点数の増加が図られ、入院における治療内容の集積化が進み、入院患者にとっていわゆる「何もない入院日」が減少したと考えられる。パスを使用するにあたり、バリアンスとなるのはリハビリテーション部と関係の深いADLに関する項目が多い。特に独居老人や老夫婦世帯では、ADL状況を(介助、監視下、自立)の3段階で言えばすべての項目で自立を要求される傾向が強く、パスからスケールアウトする可能性が高い。このようなケースにおいては特に十分な術前からの評価、住宅環境にあった早期のADL訓練、機能レベルとADL能力についての理解(教育)、転院希望者には転院先への情報提供、MSWの適時介入が必要不可欠である。また当院の位置する大津市中心部においても近年急速に少子化、高齢化が進み高齢世帯の急増が懸念されており、今後の推移に注目する必要がある。先に述べたようにADLに関わる項目がバリアンス発生と関係が深い以上、PTはパス作成段階から担当科と綿密な討議を重ねパスを作り出していく必要がある。また、パスを改良させていく段階においても、発生したバリアンスの解析作業の中でADL能力と機能レベルの関係に留意し、わかりやすく他のスタッフに伝える工夫が必要である。入院患者ができるだけ速やかに地域に戻っていくことは、昨今のようにクリティカルパスが普及する以前から我々医療従事者が持っていた共通の理想であった。そしてこのパスというツールを通し、ただ単に在院日数の短縮のみならず、ベテランPTが持つ様々なノウハウを新人PTも共有できる利便性を生かし、平成14年4月の診療報酬改定などの制度改革にもスピードをもった対応が可能と思われ、業務の質の向上に役立てられるのであれば、パスは有用な手段といえる。今後も症例数を重ね、PTとしてバリアンスの客観的評価を行う必要があると考える。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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