理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: RO533
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教育
過去5年間の夏季解剖セミナーの動向
*吉尾 雅春乗安 整而村上 弦
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抄録
【目的】 第34回本大会において,本学の解剖学実習の卒前・卒後教育について紹介したが,その後も着実に発展を遂げている。特に夏季解剖セミナーは受講希望者が増加し,その必要性を表しているが,一方で新たな課題も生まれている。過去5年間の夏季解剖セミナーの動向を紹介し,卒前・卒後教育における解剖実習について検討したい。【セミナーの目的と運営】 夏季解剖セミナーは,根拠をもった医療を実践できる人材を育成すること,チーム医療にこたえ得る人材を育成することを目的に,医学部解剖学第二講座の監督により開講されている。また道立大学として地域医療に貢献するという視点から,北海道内の国家資格を持つ医療従事者およびその学生を対象としている。本学の夏休み期間最初の1週間を利用し,9時から23時まで行われる。受講者の課題に沿って希望部位を自ら剖出していくことを求められるが,解剖学の知識や能力によって見学からメスを用いた解剖まで,その方法は異なる。指導は医学部解剖学講座教員,保健医療学部教員および各学校の教員,経験を積んだ医学部学生があたる。【受講者の動向】 受講者総数は1998年286名,1999年383名,2000年587名,2001年698名,2002名905名と増加の一途をたどっている。その中で理学療法士およびその学生の参加は1998年が理学療法士48名・学生118名,以下順に58名・160名,86名・192名,107名・253名,2002年が理学療法士149名・学生389名で,毎年の受講者総数のおよそ50から60%を占めている。作業療法士とその学生は25から30%で,看護師とその学生が8から10%になっている。 学生受講者総数は1998年で220名であったが,153名(69.5%)が本学以外の学生であった。それ以降本学以外の学生の参加は増え続け,1999年223名(74.3%),2000年302名(77.0%),2001年440名(83.5%),そして2002年には581名(85.3%)に上っている。【課題と対策】 法的問題:理学療法士やその学生等がメスを用いて解剖することの是非が問われている。理学療法士養成校の解剖学実習が積極的に行われない主因にあげられている。しかし,法律家や厚生労働省の見解は肯定的である。現に,数十年前からメスを用いた解剖がなされている学校は存在するし,近年では国立8大学で行われている。献体者団体の総会や慰霊式を通じて,大学として夏季解剖セミナーの報告も行っている。指導者の確保:解剖学教室では場の提供はできても,人や時間の提供をするほど余裕がない。そこで,夏季解剖セミナーでは,本学以外の学校の教員に事前の研修を促している。毎年の夏季解剖セミナーに参加するだけではなく,学部や大学院の解剖学実習への参加を呼びかけ,指導者の育成を図っている。単に夏季解剖セミナーの指導者の養成だけではなく,日常の理学療法士教育の質の向上に寄与する目的もある。受益者としての養成校も,自ら努力を惜しまないようにしなければ機会を得ることは難しい。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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