理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: TP355
会議情報

健康増進
転倒予防外来における歩容観察の有用性
*山崎 直美古西 勇矢澤 由佳里佐藤 成登志立石 学山本 智章押木 利英子黒川 幸雄
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】当院では平成13年11月より転倒予防外来(以下、外来)を開始している。外来では初回と最終時に運動機能を評価し、以降2週間毎に全6回の生活・運動指導を行なっている。その修了者の中にはよくなった印象を受けるにも関わらず、運動機能評価の測定値では変化が認められない者もいる。そこで今回、外来における歩容観察の有用性を検討することを目的に、運動機能評価結果を考慮しながら歩容について外来前後の変化を比較・検討した。【方 法】対象は外来修了者19名のうち、初回・最終時ともにデジタルビデオ(以下、ビデオ)撮影が可能であった17名(男性1名、女性16名、年齢平均69.4±8.1歳)とした。初回・最終時の運動機能評価として健脚度(10m全力歩行、最大1歩幅、40cm踏み台昇降)、Berg Balance Test 、Dukeの移動性スキル評価表、閉眼片脚立位などと共に普通歩行の歩容観察を実施している。歩容観察については対象者に普通歩行を指示し、理学療法士によるチェック表を用いた評価と、固定されたビデオによる矢状面、前額面での撮影を行っている。各個人の歩容特徴を抽出し、外来前後での変化を検討した。【結 果】対象者17名中15名に何らかの歩容変化が認められ、2名は変化が認められなかった。改善が認められた歩容変化のうち、多かったものは蹴り出し・踵接地時のクリアランス・体幹回旋の対称化であった。明らかな歩容の改善が認められたのは5名であり、そのうち3名は蹴り出し・歩幅の増大が主な変化であった。この3名は10m全力歩行においてもスピード・歩幅の改善していた。残る2名のうち1名は、右股関節臼蓋不全のため体幹による右下肢振り出しの代償・右の蹴伸び歩行が著明であったが、それらが軽減した。運動機能評価では、左最大一歩幅、継ぎ足立位が改善していた。また残る1名は腰椎部の前弯が著明であったが、最終時には軽減していた。運動機能評価では最大一歩幅が両側共に増大していた。【考察】全体としては歩容変化が認められた蹴り出し・踵接地時のクリアランス・体幹の回旋の対称化は量的な変化やタイミングの問題であり、チェック表と合わせてビデオ撮影することの有用性が示唆された。個人間については、明らかな歩容改善が認められた5名のうち3名は、運動機能評価結果からも推進力と前足部での活動の増大が推測され、改善した歩容変化に一致していた。残る2名は運動機能評価結果のみでは、歩容の改善を推測、一致することは困難であった。何らかの歩容変化が認められた残りの10名についても同様であった。【まとめ】(1)外来の運動機能評価項目の一つである歩容観察の有用性を検討した。(2)明らかな歩容の改善が認められた対象者では、改善した運動機能評価結果が歩容に反映する者と、運動機能評価結果には改善が認められなくても歩容に改善が認められる者があった。(3)歩容観察については、チェック表のみでは量的な変化やタイミングの問題は推し量ることが困難なため、ビデオでの歩容観察は有用であると思われる。
著者関連情報
© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top