理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: TP356
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健康増進
転倒回避能力の評価
転倒耐容能と身体特性との関連
*三上 晃生加藤 仁志岡藤 直子大渕 修一柴 喜崇上出 直人
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キーワード: 転倒, 転倒予測, 耐容能
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抄録
【はじめに】これまでの転倒に関する研究は、おもに1年間の転倒の有無を思い出すことによって調べられてきた。このため、こうした転倒の中には事故による転倒や心疾患の発作などに起因する転倒も含まれることとなり、転倒と身体機能との因果関係を明らかにすることに矛盾があった。また、虚弱高齢者を対象とした疫学研究では身体機能と転倒の因果関係が明らかであるものの、身体機能レベルの高い地域在住高齢者を対象とした場合はこれらの因果関係は認められないか、あってもその寄与率はわずかであった。そこで我々は、地域在住高齢者を対象に、先に開発した転倒をシミュレートする機器を用い、歩行時のつまづきやすべりといったよく見られる転倒機転に対する回避能力を調べ、各種の身体機能測定との関連を調べた。【対象】地域在住の健常成人25名(男性14名、女性11名)。平均年齢65.9±4.5歳。【方法】1.被験者を両側分離型トレッドミル(日立製作所:PW-21)上を前方を注視しながら歩行させた。なるべく手すりにつかまらないように歩行するよう伝え、2km/h、3km/h、4km/h、5km/hの速度でそれぞれ1分間歩行した。歩行中に左立脚相に対して、左のベルトをランダムに500msの間、それぞれの歩行速度から0km/hまで減速する刺激を1分間に3回与えた。外乱刺激に対し手すりをつかんだ場合やハーネスに牽引力が加わった場合を転倒とした。2km/hから開始し、速度を漸増していき転倒したポイントで以下のようにレベル分けをする。2km/hでの歩行が出来ない人をレベル1、2km/hでの刺激で転倒する人をレベル2、3km/hでの刺激で転倒する人をレベル3、4km/hでの刺激で転倒する人をレベル4、5km/hでの刺激で転倒する人をレベル5、5km/hでの刺激でも転倒しない人をレベル6とする。2.形態測定:身長、体重の測定。3.運動能力測定:自由歩行速度、最大歩行速度、歩幅、開眼片脚立ち、閉眼片脚立ち、Functional reach test、Timed up & go test、握力の測定。4.過去一年間の転倒歴の聴取。【結果】転倒レベルとの間に有意に相関がみられたものは最大歩行速度(r=p<0.01)、Timed up & go test(r=p<0.01)、開眼片脚立ち(p<0.05)であった。転倒歴と転倒レベルとの間には相関はみられなかった。【考察】転倒を予測する指標として用いられるべきスクリーニングの指標としては、最大歩行速度、Timed up & go test、開眼片脚立ちが有用であることが示唆された。臨床においても簡易的に用いられるこれらの評価が外乱刺激時の姿勢制御に要求される下肢筋力、動的バランス能力、平衡感覚を反映しているものと考える。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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