理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: TP610
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健康増進
中高年者に対するウォーキング教室の参加状況と自覚的健康度の関連について
*杉本 諭小椋 一也
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抄録
【はじめに】ウォーキングは近年の健康づくりに対する意識の高まりの中で,幅広い年齢層に取り入れられている運動の1つである。これまでにもウォーキングの効果に対する報告は散見されるが,筋力や歩行能力など身体運動機能に直接的に関係する項目が検討の中心である。ウォーキングの参加者は日常生活動作に支障のない者が多く,身体運動機能よりもむしろ生活の質との関連が強い自覚的健康度に着眼した検討が必要であると考えられる。そこで我々は,ウォーキング教室参加者の自覚的健康度を調査し,その参加状況との関連について検討した。【対象および方法】対象は平成13年3月から平成14年7月まで実施したウォーキング教室の参加者46名のうち,ウォーキング教室の最終日に参加した29名(男性8名,女性21名,平均年齢58.7歳)である。これは史跡散策などをテーマとしたもので,平成13年は15回,平成14年は7月までに5回行なった。1回の歩行量は10km前後であり,軽く汗ばむ程度の運動強度に設定している。自覚的健康度はSF-36日本語版を用い,郵送法にて行なった。データ処理は8つの下位尺度ごと(身体機能:PF,日常役割機能(身体):RP,体の痛み:BP,全体的健康感:GH,活力:VT,社会生活機能:SF,日常役割機能(精神):RE,心の健康:MH)に点数化し,全国標準値よりも高得点を示した者の割合を求めた。参加状況は平成13年3月からほぼ毎回参加している者をA群,以前より参加しているが時々しか参加していない者をB群,平成14年3月より参加した者をC群とし,SF36の結果を用いて群間比較した。【結果および考察】参加状況はA群10名,B群9名,C群10名で,年齢,性別に群間差は見られなかった。各群の傾向を見ると,A群ではRP100%,RE90%と高く,BPとGHが中等度であった。B群ではPF66.6%,RP77.7%,SF88.8%,RE88.8%と高かったが,逆に他の4項目は低値を示し,特にMHはわずか22.2%であった。C群は全体的に高い割合を示した。群間比較ではB群のBP,GH,VTは他の2群に比べて低い傾向を示し,MHは有意に低値であった。以上よりA群ではウォーキングが現在の健康状態を維持するための手段であり,その結果積極的な参加が継続されていると考えられる。これに対し参加頻度の少ないB群ではウォーキングが必ずしも健康状態の維持には役立つとは認識されておらず,気晴らし的な参加が多いと推察される。一方C群ではウォーキングへの参加により生活の中に運動習慣という新鮮さが加わり,健康増進への期待が反映されていると示唆された。今後はウォーキング教室を継続し,経時的変化を分析することで効果的なウォーキング教室のあり方について検討していきたい。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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