理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: BP650
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運動・神経生理
四つ這い位における対角螺旋パターンを意識した抵抗運動が立位バランス能力に与える影響
PNFのRhythmic Stabilizationを用いて
*上田 和毅籾山 日出樹玉木 彰
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抄録
【はじめに】四つ這いでの運動療法は、主に中枢神経疾患患者を対象に、四肢・体幹筋の共同収縮の学習やバランス能力向上などを目的として実施されている。新井(1994)らは、PNFの四つ這いでのRhythmic Stabilization手技(RS)は四つ這い位の重心動揺に効果的な影響を与えるとし、PNFの有効性について報告している。この四つ這いでのRSを用いて立位姿勢の獲得安定化を目標とした運動療法を行った場合、立位時の安定性に及ぼす影響を確認することにより、より高次の姿勢制御に対するRSの波及効果を検証することが可能であると考えられる。そこで本研究では、四つ這い位での対角螺旋パターンを意識したRS運動が立位重心動揺に与える影響について、直角方向への抵抗運動(以下抵抗運動)を行った群と比較検討した。【対象】対象者は、本校理学療法学科に在籍する健常学生19名(男性7名、女性12名)で、神経学的疾患や骨関節疾患および耳鼻科的な問題のないことを確認し、同意の得られた者を対象とした。【方法】重心動揺計はアニマ株式会社(MG-100)を使用した。被験者の肢位は安静立位、足部は肩幅に開き、楽な姿勢とした。測定時は、重心動揺計の上で安静開眼立位1分後、そのまま20秒間の計測を2回続けて行った。その後1分間マット上でRS運動、抵抗運動のいずれかを行い、運動後椅座位で1分間の休息をとり、はじめの測定と同様の計測をした。RSの手技は肩甲骨、大転子を基準に対角螺旋方向に外力を加えるもので、検者は被験者の右側に位置し、片膝立ち位でRSを施行した。測定項目は、総軌跡長、単位軌跡長、矩形面積、X方向軌跡長、Y方向軌跡長とし、各データは正規性の検定を行った後、反復測定分散分析およびt検定を用い、有意水準5%にて統計処理した。【結果及び考察】RS施行群において総軌跡長、単位軌跡長、Y方向軌跡長の値が有意(p<.01)に低下を示した。以上よりRSの施行により立位での前後方向への動揺が減少したことが確認できた。また矩形面積には有意な低下がなかったことから、RS施行前に比べ動揺範囲には変化は認められなかったものの、ふらつきが抑えられた姿勢制御が行えるようになっていると考えられた。抵抗運動群の前後の各測定項目には明らかな差は認められなかった。静的立位バランス機能は、立位における視覚、前庭、迷路系、筋の固有感覚受容器系などの情報に基づき、中枢神経系により調節されている。本研究の結果、四つ這い位でのRS施行によって立位重心動揺が有意に減少したことから、四つ這い位におけるRSによって両下肢、体幹の固有感覚受容器が促通、活性化されたものと考えられ、臨床で行われている四つ這い位でのRSが立位バランス向上に有効であるということが示唆された。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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