理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: BP651
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運動・神経生理
身体における柔軟性とバランス反応
*谷内 幸喜林 茂広河崎 由美子水本 圭祐浅井 亮至浜田 美穂河崎 政治二神 達徳串部 直樹近藤 美奈子西 京子平林 希己江
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抄録
【はじめに】理学療法において、抗重力伸展活動を促しADLを向上させるためには、潜在能力としてのバランス反応を引き出していく必要がある。そこで今回我々は、バランス反応に焦点をあてて、柔軟性との比較から若干の知見を得たので報告する。【対象及び方法】健常人30名(男性20名・女性10名、平均年齢は25.7歳(±4.3))を対象とした。 電動車椅子につないだ台車の上にフォ-スプレ-ト(アニマ社製MA-6000)を置き、被検者はその上に進行方向に向かって直立姿勢をとる。測定は10秒間で、最初の3秒間は直立姿勢のまま、その後の5秒間は電動車椅子を一定のスピ-ド(2.5km/h・4.0km/h)で真っ直ぐ走行させる。そしてストップさせて2秒後測定を終える。測定は各々別の日に連続2回測定し、10秒間における重心動揺の実効値(cm)及び前後左右における最大振幅(cm)を求めた。尚、加速度を一定にするために、台車の上に砂のうを置くなどして台車にかかる重さは一定にした。柔軟性に関しては、走行が前方方向であり、前方への反応が予想されることもあって、立位体前屈(cm)を測定した。【結果】≪1≫立位体前屈と10秒間における重心動揺の実効値との関係をみると、2回目の測定時において2.5km/h走行時がr=-0.36(p<0.05)、4.0km/h走行時がr=-0.52(p<0.01)とどちらにも負の相関性が得られた。(どちらのスピ-ドも1回目の測定時には相関を得ず)≪2≫立位体前屈と前後左右における最大振幅との関係をみると、2回目の測定時において2.5km/h走行時が左右方向のみr=-0.41(p<0.05)と負の相関性が得られ、4.0km/h走行時は左右方向がr=-0.45(p<0.05) 、前後方向がr=-0.37(p<0.05)とどちらにも負の相関性が得られた。(どちらのスピ-ドも1回目の測定時には相関を得ず)≪3≫動揺距離とそれを微分することによって求めるその瞬間時の速度を観察してみると、比較的柔軟性のある人の方が、柔軟性の乏しい人より動揺距離とその速度において、一定の対称性を認めた。【考察】人の直立姿勢は、一般に軽く前傾しそれ以上の前傾を防ぐように腓腹筋やヒラメ筋が働いている。時に後方への揺れが起こると、前脛骨筋が働いて元に戻すなどの足関節における一定の揺れの中で安定を保つといった平衡戦略が優先している。我々は、こういった平衡戦略における足関節周囲筋の筋活動効率が筋力ではなく、筋の柔軟性にもあるのではないかと今回の実験に至った。今回測定した重心動揺の実効値と前後左右における最大振幅から、柔軟性の高い人ほどバランスを保持するのに対称性を有しており、重心の動揺が少ないということが推測された。特に、2回目の測定時のみその関連性が認められたのは、1回目の測定によってフィ-ドバックによる学習効果が得られ、視-前庭干渉により平衡状態のイメ-ジの形成が起こったため、2回目の測定時にはバランス反応と柔軟性との間の純粋な関係が調べられたものと考えられる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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