理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: CO077
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運動学
高齢者における静的しゃがみ姿勢
若年者との比較において
*中井 英人永谷 元基清島 大資井上 雅之林 満彦鈴木 重行
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抄録
【はじめに】近年、しゃがみ姿勢を困難とする若者が増えてきているとの報告から、我々は第37回日本理学療法学術大会において、若年者における全足底接地しゃがみ姿勢の可能群と不可能群の間には足関節可動域と足圧中心最大移動距離に有意差が観られたと報告した.今回我々は全足底接地しゃがみ姿勢可能な高齢者の下肢関節可動域、足圧中心、関節モーメントを測定し、若年群と比較検討したので報告する.【対象と方法】対象は全足底接地しゃがみ姿勢可能な健常高齢者(以下高齢群)7名(男性5名、女性2名)、平均年齢71.7歳と、下肢に既往歴のない健常若年者(以下若年群)13名(男性4名女性9名)、平均年齢20.5歳であった.被検者にはあらかじめ実験内容を説明し、同意を得た。全足底接地しゃがみ姿勢の条件として両足内側縁と両膝が接して、踵が浮かない状態で、しゃがみ姿勢が5秒以上保持できることとした.まず市販の角度計を使用し、他動的に下肢の関節可動域を求めた.次に各被検者は左右独立式床反力計(アニマ社製MG1120)上に裸足で乗り、条件と同一姿勢をとり、両上肢が床と平行になるように、肘関節伸展位にて前方に固定された棒を把持した.そして検者の合図でゆっくりと手を離し、しゃがみ姿勢を保持させた.また三次元動作解析装置(アニマ社製Locus MA6250)を用い肩峰、股関節、膝関節、外果、第5中足骨頭の5カ所に赤外線反射マーカーを付けサンプリング周波数60Hzにて4秒間を3度計測した.これらよりしゃがみ姿勢保持時の右下肢関節可動域、関節モーメント、足圧中心最大移動距離を求めた.以上のパラメーターを用いて高齢群を若年群と比較検討した.【結果】他動的関節可動域では、高齢群は股関節屈曲において若年群より有意に小さかった.しゃがみ姿勢の関節可動域では体幹前傾を含めた股関節屈曲、膝関節屈曲は若年群より有意に小さかった.関節モーメントにおいて足関節底屈モーメントは若年群より有意に大きかった.足圧中心最大移動距離は前後成分、左右成分において若年群より有意に大きかった.【考察】今回の結果より、全足底接地しゃがみ姿勢可能な高齢者では股関節屈曲制限があるため、しゃがみ姿勢では股関節屈曲制限のみでなく、膝関節屈曲角度の減少が見られた.この股・膝関節角度の減少を代償するため、足圧中心を前方に移動させることで足関節底屈モーメントを増大させていると考えられる.大きく働き、その結果、重心位置の安定とバランス維持の向上が獲得され、全足底接地しゃがみ姿勢が可能になったと考えらる.このことは高齢者のみならず、軽度な股関節屈曲制限のある症例にも当てはまると推察される.
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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