理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 183
会議情報

理学療法基礎系
MRIを用いた肩関節運動に伴う胸鎖関節の関節運動学的解析
*宇佐 英幸, 竹井 仁, 根岸 徹, 金子 誠喜, 渡邉 修
著者情報
キーワード: MRI, 胸鎖関節, 凹凸の法則
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】胸鎖関節は鎖骨の胸骨関節面と胸骨の鎖骨切痕との間の鞍関節に分類される。関節面の形状は前額面では鎖骨の胸骨端が凸面をなし、胸骨の鎖骨切痕が凹面を呈する。横断面においては関節面の凹凸が逆になる。そのため関節運動学的な凹凸の法則を考慮して、鎖骨の胸骨関節面は胸骨の鎖骨切痕に対して、前額面では凸の法則に従い下外方へ滑り、横断面では凹の法則に従い前方へ滑ると考えられている。我々は第38回日本理学療法学術大会にて、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)を用いて、健常女性を対象に、肩関節運動に伴う胸鎖関節の横断面での動きを解析し、その関節運動を確認した。今回はさらに肩関節運動に伴う胸鎖関節の前額面での動きについて解析したので報告する。
【対象と方法】被験者は実験の承諾を得た健常女性12名とした。平均年齢は20.8(19-23)歳、身長と体重の平均値±標準偏差は、152.7±2.3cm、45.6±3.5kgであった。測定肢位は背臥位にて(1)上肢を体側につけた基本肢位、(2) 肩関節最大屈曲位、(3) 肩甲帯挙上位の3課題とした。(2)(3)の各肢位は他動的に保持し、体幹の代償が出ない範囲の最大角度とした。MRI(GE社製SIGNA1.5T)によるT2強調前額断像を用いて、以下の角度と距離を解析した。角度は、鎖骨と横断面とのなす鎖骨角、胸骨上縁と横断面とのなす胸骨角、鎖骨と胸骨上縁とのなす鎖骨-胸骨間角とした。距離は、胸骨上縁と平行な軸を水平軸、垂直な軸を垂直軸と定めて、鎖骨の内側端下縁と胸骨の鎖骨切痕上縁との間の、鎖骨-胸骨間水平距離と鎖骨-胸骨間垂直距離とした。得られた結果はSPSSver.11を用いて統計処理を行い、危険率5%未満を有意とした。
【結果と考察】各課題における鎖骨角、胸骨角、鎖骨-胸骨間角、鎖骨-胸骨間水平距離、鎖骨-胸骨間垂直距離の平均値(角度[゜]と距離[mm])を順に示す。課題(1)21.3、1.0、20.3、12.2、4.8。課題(2) 29.8、0.5、29.3、15.5、4.3。 課題(3) 40.5、2.8、37.7、15.1、3.7。すべての解析項目について各課題間で多重比較検定を行った結果、鎖骨角、鎖骨-胸骨間角は課題(1)-(2)、(1)-(3)、(2)-(3)で有意に増加し、胸骨角は課題(1)-(3)、(2)-(3)で有意に増加した。また、鎖骨-胸骨間水平距離は課題(1)-(2)、(1)-(3)で有意に増加したが、鎖骨-胸骨間垂直距離には各課題間で有意差を認めなかった。これらから、肩関節最大屈曲時や肩甲帯挙上時に鎖骨外側端が挙上すると、鎖骨内側端は胸骨に対して凸の法則にしたがい下外方への滑りの動きが生じるとともに、上方への転がりの動きも生じていると考えられる。両者の動きにより、鎖骨内側端の胸骨に対する垂直方向の動きは相殺される。そのため結果的に、課題(1)-(2)で3.3mm、課題(1)-(3)で2.9mmの外方への動きのみ認めたと推測する。
著者関連情報
© 2004 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top