抄録
【はじめに】現在、ADLを評価するチャートは一般化されているが、患者個人の生活全体の活動度を評価するチャートは存在しない。そこで我々は独自に自己決定権や自立度を配慮した「活動評価チャート」(以下チャート)を作成した。今回は、そのチャートの信頼性と妥当性を検証、考察し報告する。
【チャート紹介】排泄、整容、更衣、食事、入浴、整理整頓、移動、交流、趣味・仕事・余暇の9項目を評価する。各活動に対し、「自己決定」、「姿勢・移動方法・場所等」、「動作自立度」の3項目に分けそれぞれを配点する。自己決定に対しては、自ら動作を開始しようとすれば3点、誘導して行うのであれば2点、それ以下は0点とする。姿勢、移動方法、場所等に対しては0点から5点とする。また動作自立度に対しては運動負荷量の程度を考慮し0点から5点とする。患者の活動に対する特徴を捉えるため時間帯を朝・昼・夜の3部に分け、それぞれを83点満点とし、一日の合計は249点となる。
【信頼性と妥当性の検討】H15年5月から10月までの当院入院中の患者84名を対象とし、担当PT、OTがそれぞれ評価した。両者の結果からICC(級内相関係数)を求め信頼性を検討した。同時に「しているADL」を表すといわれるFIMとの相関により妥当性を検討した。また患者個人の変化をみるために、3ヶ月以上入院していた20名の患者の経過を観察した。
【結果】各項目のICC(2,k)は排泄0.962、整容0.798、更衣0.692、食事0.898、入浴0.909、整理整頓0.776、移動0.917、交流0.888、趣味・仕事・余暇0.514であり、更衣、趣味・仕事・余暇以外に関しては検者間における再現性が認められ信頼性があることが示された。評価結果とFIMとの相関はPTとでは0.871、OTとでは0.887で正の相関を認め、妥当性があることが認められた。患者個人20名の経過としては、90%の患者の活動度が向上していた。
【考察】更衣と趣味・仕事・余暇に関しては信頼性が低いという結果が示されたが、これは検者自身が直接確認できていない項目に対しても配点していたり、どの程度の内容で配点するかの認識の違いが起因していると考える。排泄、整容、食事、入浴、整理整頓、移動、交流に関しては信頼性が高いことが示された。またFIMとの相関により妥当性も認められた。活動の評価は単に自立度を示せばよいというものではなく、日常的に、かつ自発的に行うことが前提であり、項目によっては運動負荷量も異なる。これらを考慮すると本チャートは客観的に活動が評価できるものといえ、また点数化することによって患者個人の特徴に合わせた変化を追うことが出来る事がわかった。活動性の向上に努めていくために、本チャートによる評価は有用といえる。