理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 261
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理学療法基礎系
脳卒中片麻痺患者における、立位左右weight shift動作と歩行能力の関連性
*久保田 健太福井 瑞恵坂口 友康野口 牧子伊藤 俊一隈元 庸夫
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抄録
【はじめに】
 近年,脳卒中片麻痺患者(以下,CVA患者)の動的バランス能力が歩行能力と関連するとの報告は多い.また,重心動揺計を用いた検討では,CVA患者におけるweight shift動作評価や訓練と歩行能力に関する報告が散見される.報告の大半は,重心移動能力や荷重量などの量的な見当を行っている.しかし,歩行能力との関連性を考える上では,weight shift動作時の速度に対する検討が必要と考えられた.
 本研究の目的は,CVA患者の立位における左右weight shift動作に関し,動作開始から荷重移動終了までにかかった時間(以下,荷重時間)と歩行能力の関連性について検討し、今後のweight shift訓練法に関して一助を得ることである.
【対象と方法】
 対象は, CVA患者18名(男性13名,女性5名,平均年齢64.2歳)とした.平均罹患期間は,32.9±37.8ヶ月であった.対象者のBrunnstrom stageは,VIが7名,Vが3名,IVが5名,IIIが3名であった.
 計測は,アニマ社重心動揺計G-620上で,肩幅分の歩隔で立位をとり,i)非麻痺側荷重肢位から麻痺側荷重肢位,ii)麻痺側荷重肢位から非麻痺側荷重肢位への2条件でのweight shift動作を各々可及的に速く行わせた.Weight shift動作終了後もその肢位を保持し,最大10秒間計測を行った.計測順は無作為として,各々5回ずつ施行したFzの経時的記録から荷重時間を求めた.また歩行能力として,10m歩行時間(以下,10m-T),努力性10m歩行時間(以下,Max10m-T),timed up and go test(以下,TUG)を求めた.
 検討は,初回測定日より24時間以後に再測定し,荷重時間の再現性を求めた.また,荷重時間と歩行能力間の相関をもとめた.統計学的解析には級内相関係数(以下,ICC)とpearson係数を用い,有意水準は5%とした.
【結果と考察】
 荷重時間の再現性は, i)ii)ともにICC=0.82~0.92と高い再現性を認めた.荷重時間と歩行能力との検討においても,10m-T間にr=0.66以上,Max10m-T間に
r=0.61以上,TUG間にr=0.56以上とi)ii)共にすべてにおいて相関を認めた.
 以上より,weight shift動作の速さが歩行能力と関連していると考えられた.したがってweight shift動作等の荷重移動訓練では,従来から言われている重心移動距離・重心動揺面積・荷重量による安定性のみならず,weight shift動作の速度に対しても介入する必要があると思われた.
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© 2004 日本理学療法士協会
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