理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 263
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理学療法基礎系
立位能力がADLに及ぼす影響について
*荒尾 雅文八木 朋代早川 陽子吉村 尚子八田 奈々乃中村 嘉宏八木下 弓子飯田 達能
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キーワード: 立位能力, ADL, 脳血管障害
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抄録
【はじめに】移乗やトイレ動作といった下肢の支持性を要求されるADL評価をする時、当然立位能力は評価のポイントとなる。今回は以下の研究から立位能力とADLとの関係を明らかにすることで、今後の評価、治療の一助とすることを試みた。
【対象・方法】対象は当院回復期リハビリテーション病棟100床を2001年から2003年の2年間に退院された230名(男性118名、女性112名)の脳血管障害患者とした。平均年齢71.5±11.1歳。対象者の属性は脳梗塞138名、脳出血66名、くも膜下出血14名、その他12名。麻痺側右88名、左108名、両側17名、明らかな麻痺なし17名。発症からの期間153.8±55.8日。評価は立位を総合実施計画書より全介助、一部介助、つかまり、手放しの4段階評価で、ADLはFIMを用い立位に関係のあると判断した更衣(下衣)・トイレ動作・移乗(トイレ)・移乗(車椅子)・移乗(浴槽)・歩行・階段の7項目について退院時に評価した。そして評価値から立位とADLとの関係を調べた。
【結果】立位能力別の患者数は手放し自立103名、つかまり69名、一部介助26名、全介助32名であった。ADL7項目の自立者は更衣110人、トイレ動作111人、移乗(ベッド)121人、移乗(トイレ)120人、移乗(浴槽)54人、階段27人、歩行70人であった。次に立位とADLとの関係をスピアマンの順位相関を用い見てみると、r=0.76以上での強い相関が見られた。
【考察】今回の結果から立位能力と7項目FIM得点とは強い相関があることが確認された。このことからADL7項目において立位能力を十分評価する必要があること、立位能力を高めながらADL訓練を行うことの重要性が示唆される。しかし各立位能力群別でもFIM得点にはばらつきがみられ、この立位能力評価ではFIM得点は規定できないことが分かる。今後、FIM得点に影響を与える有用な立位評価が必要であろう。次にADL能力毎の各立位能力群の内訳を見ていくと、更衣の下衣とトイレ動作、移乗のトイレとベッドの分布がそれぞれ類似していた。類似の原因は、更衣とトイレ動作は共にズボンの上げ下ろし動作が必要であり、またベッド,トイレへの移乗は場所が違うが、動作は同一なものであるためであろう。このことから動作の類似性が想定できる。またADL別の自立者を見ていくと、ベッド,トイレへの移乗、更衣、トイレ動作、歩行、浴槽への移乗、階段の順に減少している。これにより動作の難易度が推定できる。今回明らかになった動作の難易度と類似性から、今後ADL訓練をする時、例えば移乗動作がベッドで可能となったケースに対し、トイレでも自立を促すようにすること、次の治療として段階的に難易度の高い更衣やトイレ動作を行う等の訓練の順序にも影響を与えられると思われる。
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© 2004 日本理学療法士協会
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