理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 765
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理学療法基礎系
片脚立位動作における運動連鎖について
*相原 祐希山村 俊一大平 功路府川 哲也中川 紀一
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抄録
【目的】片脚立位(以下片脚)は両脚支持の立位とは異なり一側支持のため不安定である。また、一側下肢で体幹を支える動作であり、要素として身体支持の意味を持つと考えられる。片脚動作では下肢と骨盤、体幹が連動するが、臨床ではその反応が個々により様々な反応を示すことを経験する。そこで今回、片脚動作を2相に分けて検討し、片脚動作全体の特徴と動作パターンについて考察する。
【方法】健常成人8名(男性5名、女性3名)、16肢。年齢24.0±2.9歳である。片脚動作は上肢を前で組み、自然立位から片脚を行った。測定は左右両側行った。測定項目は体幹角度(肩峰―上前腸骨棘が前額面となす角)、骨盤回旋角度(左右の上前腸骨棘が前額面となす角)、股関節内外転角度(上前腸骨棘―大転子―膝裂隙)、膝関節屈曲角度(大転子―膝裂隙―外果)である。また、片脚を(1相-片脚直前まで)・(2相-片脚後)に分け、分析を行った。なお、測定機器は3次元動作解析システムVICON370(Oxford Metrics社)により測定した。
【結果】片脚動作全般の特徴は、(結果1)1相では膝関節は屈曲運動を行う。(結果2)2相では股関節は外転運動を行う(結果1、2共に全例)。さらに2相では体幹と骨盤と膝関節の動きは4つに分けられた。体幹屈曲―骨盤後方回旋―膝関節伸展(以下1群)7肢、体幹伸展―骨盤前方回旋―膝関節屈曲(以下2群)4肢、体幹伸展―骨盤後方回旋―膝関節屈曲(以下3群)4肢、体幹屈曲―骨盤前方回旋―膝関節伸展(以下4群)。1相では1群において体幹伸展―骨盤前方回旋―膝関節屈曲という結果が7肢全てに見られた。他の群では体幹と骨盤と膝関節の動きには一定の関連性はなかった。
【考察】今回の片脚動作全般では、遊脚側の股関節は屈曲するため、足圧が前方に位置し前方への不安定性を生じている。(結果1)より、片脚直前に起こる膝屈曲運動は、重心移動に対応するため、膝の支持性を高めているためと考えられる。(結果2)より股関節が外転運動を行った。この時、遊脚側は股屈曲・骨盤挙上する。相対的に支持側骨盤が下制し、体幹が支持側へ側屈するため、股関節外転すると考える。次に2相における1群は骨盤後方回旋・膝伸展に伴う下肢の後方傾斜によって体幹は屈曲する。2群においては、骨盤前方回旋・膝屈曲により、より足圧が前方に位置し体幹伸展はそれを補償しているのではないかと考える。3群においては、体幹伸展・骨盤後方回旋して足圧が前方に位置しない反応が起こる。この時膝関節は重心移動を制御していると考える。4群については、骨盤前方回旋と膝伸展に伴い下肢傾斜が増し、足圧がより前方に位置する。体幹屈曲で補償しているのではないかと考える。片脚動作は歩行と異なり、重心移動を留めようとする動作である。そのため、安定性を作る反応を各関節で行う。また個人によってその反応が様々であった。
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© 2004 日本理学療法士協会
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