印度學佛教學研究
Online ISSN : 1884-0051
Print ISSN : 0019-4344
ISSN-L : 0019-4344
「自立論証(svatantram anumānam)」という用語について
米澤 嘉康
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 67 巻 3 号 p. 1124-1130

詳細
抄録

中観派を自認するチャンドラキールティ(ca. 600–650)は,自らの著作において,先行するバーヴィヴェーカを批判している.その批判におけるキーワードは,『中論』の註釈書である『プラサンナパダー』に登場する「自立論証(svatantram anumānam)」だと考えられてきている.しかしながら,管見の限り,この用語は『プラサンナパダー』以外では用例がない.

本稿は,バーヴィヴェーカの『般若灯論』やチャンドラキールティの『プラサンナパダー』における「自立(svatantra)」と「論証(anumāna)」という語の用例を検証し,「自立論証(svatantram anumānam)」という用語の妥当性について疑問を呈している.

著者関連情報
© 2019 日本印度学仏教学会
前の記事 次の記事
feedback
Top