理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 873
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理学療法基礎系
動作時における痛み感受性の変化について
*高橋 玲子杉原 敏道
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キーワード: 痛み, 感受性, 動作
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抄録
【目的】
 試合中に怪我をした選手が強い痛みを経験しない一方、何ら身体的損傷が認められないにもかかわらず痛みに苦しむ対象者がいる。このことは、痛みという感覚が心理的影響を受けることを意味するとともに複雑な感覚であることを示唆するものと考える。理学療法において課題に没頭するあまり痛みに気付かず、翌日に痛みを出現させてしまうことは理学療法遂行上の阻害因子になりうると考えられる。この研究では、痛みを有する対象者の理学療法施行上のリスクについて模索することを目的に、安静時と動作時の痛みの感受性について検討する。
【対象】
 同意を得た健常成人10名(男性3名、女性7名、年齢23.4±4.6歳、身長162.4±9.4cm、:体重53.8±9.0kg)を対象とした。
【方法】
 痛みの誘発にはパルスキュアー(KR-6、OG技研)を用いた。痛み刺激は1Hzの双方向スパイク波とした。強度は8mA/sec で増強していき、最終的に40mAとした。痛みの誘発部位は非利き手側の前腕内側部とした。安静時と動作遂行時にこの痛みを誘発し、その際の痛みを線分10cmのvisual analog scale(以下VAS)で申告させた。測定肢位は椅子座位とし、通電肢は肩関節90°外転位、前腕回外位で固定した。動作課題は、利き手で1.5kgの重錘負荷による上肢挙上運動をメトロノームに合わせて実施した。疲労や学習効果などの影響に配慮して、測定順位はランダムとした。安静時と動作遂行時の申告されたVASはt検定を用い比較検討した。
【結果】
 安静時ならびに動作時のVASの平均は、それぞれ43.8±31.8mmならびに28.0±22.7mmであった。安静時に比べ動作遂行時のVASに有意な低下が認められた(p<0.05)。
【考察】
痛みの知覚は、注意レベルや情動的反応に大きく影響されると言われている。今回の結果で、動作時に痛みの自覚強度が有意に低下していたことは、まさにこの影響を受けていたものと考えられる。また、運動による下行性抑制系の働きも痛みの感受性を低下させた要因であると考える。理学療法場面では動作課題への集中などが要求される。その際の痛みに関しては、対象者の主訴に依存しているのが現状である。しかしながら、動作中に痛みの感受性が低下することから、このような対象者の主観的な痛みの表現に依存することは、リスクを回避するに不十分であると考えられる。しかし、具体的にどのような手法を用いて、この痛みを評価することが適当なのかは定かではない。今後、動作と痛みの部位との関係を検討し、リスク管理に有用な情報となるよう更なる検討を重ねる必要があると考える。
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© 2004 日本理学療法士協会
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