抄録
【はじめに】パーキンソン病(以下PD)は,薬物療法と非薬物療法が治療の中心となる。特に,PD初期には非薬物的治療の重要性は指摘されているが,早期からのリハビリテーション(以下リハ)は軽視されがちである。今回,初期から中期の外来PD患者に対してPT・OT・STによる包括的な個別,集団訓練を実施し,運動機能,精神機能,ADLの維持を図る事が可能か検討した。また今後の外来PD患者に対するリハの方向性を考察した。
【対象】H15年7月以降,外来を利用しているPD患者7名(男性2名、女性5名),平均年齢68.6歳(58~76歳)を評価の対象とした。Yahrの重症度分類はstage2が5名,stage3が2名であった。
【方法】毎週2回,PTあるいはOTによる個別訓練(ROM訓練,ストレッチ,他)を1単位実施。その後,STによる集団訓練(嚥下,構音訓練)を1単位,PTあるいはOTによる集団訓練(姿勢矯正訓練,座位および立位での静的,動的バランス訓練,治療的activity)を2単位実施する。また,毎月1回同時刻,同測定環境にて検査測定実施。項目は(1)姿勢評価(2)歩行評価(10mスピード,歩幅,階段昇降)(3)機能的バランス評価(FRT,TUG,FBS)(4)ROM,胸郭拡張差(5)MMT(6)精神機能(MAS,問診)(7)構音機能(8)IADLとした。また、UPDRSは外来Nsが検査測定している。
【結果】運動機能に関しては,歩行機能,バランス評価が大きく改善のみられたものは1名,その他は数値に変化は見られなかった。精神機能に関しては,MASにおいて開始当初と比べ不安傾向の改善の見られたものは3名,悪化していたものは1名であった。要因としては,腰痛といった二次的機能障害の出現が上げられる。また今回の取り組みに関しては積極的になった,活動量が増えた,他のPD患者と関わりが持てるなど好意的な意見が多く見られた。
【考察】PDのような進行性疾患は,早期からのかかわりが重要になってくる。現在おこなっている包括的アプローチはH14年4月から開始し,H15年11月までに160回実施,合計16名参加している。今回,早期外来PD患者の運動機能に関して大きな変化は見られなかったが,精神面において不安傾向の改善が見られた。これは他のPD患者と交流をもつことがモチベーションの向上につながっていると考えられ,またこのことが運動機能の維持を図っていくために必要な要素の1つと考えられる。
【まとめ】外来PD患者は,自分の体を維持していくことに不安を抱いており,機能訓練を行う場,情報交換を行える場として,今回の包括的なアプローチを有効に活用しているものと考える。このような取り組みはよくデイケアなどでは見受けられるが,初期のPD患者はデイケアの適応から除外されることも多い。今後,地域の神経疾患の中核病院としてこのような専門外来リハを行っていく重要性をあらためて強調したい。