理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 394
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神経系理学療法
半側空間無視における空間表象の言語記述分析
*片岡 保憲森岡 周池田 耕治宮本 省三
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抄録
【はじめに】
 半側空間無視(以下USN)の評価には視覚的な机上検査が用いられる場合が多く,空間表象の主観的・客観的な言語記述分析については報告されていない.そこで今回,USN患者の空間表象に対し言語記述分析を試みたので報告する.
【対象】
 左USNを呈した脳卒中片麻痺患者3例を対象とした.症例1は,発症から約1ヵ月経過した55歳女性の左片麻痺患者,症例2は,発症から約5ヵ月経過した54歳男性の左片麻痺患者,症例3は,発症から約1年5ヵ月経過した79歳女性の左片麻痺患者であった.
【方法】
 インタビューによる空間表象の言語記述分析を実施した.内容としては,まず空間の主観的表象として,1)右側の世界をどう感じているか,2)左側の世界をどう感じているか,3)右側と左側で何か違う点はあるか,4)右後方の世界をどう感じているか,5)左後方の世界をどう感じているかの5点について聴取した.次に,空間の客観的表象として,対象の居住地で最も有名な交差点にある「はりまや橋」上に,北の方角に向かって立っていることをイメージしてもらい,6)右側にどのような建物や店が並んでいるか,7)左側にどのような建物や店が並んでいるか,8)右後方にどのような建物や店が並んでいるか,9)左後方にどのような建物や店が並んでいるかを聴取した.最後に,空間表象上の自己の身体の方向を180度回転させ,「はりまや橋」上に南の方角に向かって立っていることをイメージしてもらい,6)から9)と同様のインタビューを実施した.なお,インタビュー時には,OLYMPUS Voice-Trek W-1を用い,記述内容を記録し,分析を行った.
【結果および考察】
 空間の主観的表象において,症例1では,視覚的に入力された物体環境をそのまま記述し,一人称記述は抽出されなかった.症例2では,右側を「つかめそうでつかめない感じ」,左側を「触ることすらできないような感じ」,右後方を「こける(転倒する)とか,あたるとか,そういう痛いような世界」,左後方を「あまり痛くないようなクッションがあるような感じ」と記述し,身体に関する一人称記述が抽出された.症例3では,右側を「昔の光輝いていた世界」,左側を「今の暗い世界」,右後方を「喜びばっかり」,左後方を「喜びのない世界」と記述し,身体とは関係のない一人称記述が抽出された.
 また空間の客観的表象における記述では,3症例ともに,一度右前方でイメージ可能であった建物や店が自己の身体を回転させた後,左後方ではイメージできない傾向や,左後方でイメージできなかった建物や店が自己の身体を回転させた後,右前方でイメージできるといった傾向が認められた.客観的表象における記述からは,左USN患者は,左後方空間の表象が顕著に障害されている可能性が示唆された.
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© 2004 日本理学療法士協会
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