理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 411
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神経系理学療法
痙直型脳性麻痺児に対する上田法(上肢法)の効果判定
上肢機能と手指運動
*山本 佳司塩之谷 巧嘉石田 和美冨田 秀仁深谷 佳希鈴木 謙治鈴木 祥子吉橋 裕治河村 守雄
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抄録
【目的】脳性麻痺児に対する上田法治療には、筋の過緊張、痙縮を軽減するなどの効果がある。今回、上田法の上肢法の効果判定を目的に、上肢機能と手指運動について治療前後で計測、評価し、若干の知見を得たので報告する。
【対象と方法】痙直型脳性麻痺児5名(男児2名、女児3名:10歳0ヵ月~15歳10ヵ月)である。測定は、すべて車椅子座位で行った。方法a.上肢法治療前後の上肢機能を捉えるため、机上に置いた5個(3cm間隔)の立方体(一辺2cm)を非利き手で缶に入れる時間を計測した(缶と立方体の距離20cm)。光が点灯する自作スイッチ(直径15cm)を施行前後で押し、これを動作開始および終了とした。この場面をビデオで撮影し、編集ソフト(Ulead Video Studio 6.0J)上で時間を算出した。連続10施行し、所要時間の少なかった5施行の平均値を評価対象とした。測定は、十分な練習を行った後、上肢法開始前に初期評価として2回、上肢法治療開始2週間後に1回行った。上肢法は、1日1回週5回行った。方法b.手指運動は、電気角度計(P&G社-小関節用G35)を用い、非利き手のMP関節屈伸運動を評価した。センサーは中指MP関節にテープで固定した。運動は最大努力の速さと可動域で10秒間行い、MacLabを通してパソコンに運動波形として記録した。計測は上肢法施行前後で行った。分析項目は、1)屈伸運動の回数、2)可動域の平均値、3)棘派の出現個数とした。
【結果】上肢機能評価では、初期評価を2回行い、この平均値は14.7±5.4秒、14.5±6.1秒であった。各被験者5施行の標準偏差は0.23~1.48秒で時間変動は少なかった。a.初期評価と治療2週後を比較した。5名の被験者の平均値は、治療前14.7±5.4秒(9.4~24.2秒)、治療後は13.6±4.7秒(8.7~21.8秒)であり、対応のあるt検定を行った結果、有意差はなかった(p=0.112)。しかし、被験者ごとにランダマイゼーション検定を行った結果、5名中4名で有意に短縮した(p<0.05)。b.電気角度計の測定では、手指の屈伸運動回数の平均値は、治療前9.4±3.5回、治療後10.5±4.8回となり、被験者ごとでは5名中4名で回数が増加した。このうち3名は可動域も増加した。棘波は、平均5.2±4.8個から2.0±1.7個となった。被験者ごとでは5名中4名で出現個数が減少した。
【考察】上肢機能評価の上肢法前後では、被験者ごとでは5名中4名に有意差がみられた。電気角度計による測定では、運動回数の増加、可動域の増大、棘波の出現個数が減少した。痙縮は速度依存性の伸張反射の亢進状態といわれている。今回、「速さ」を自動運動で計測したが、以上の結果から上田法により痙縮が軽減したため、上肢の運動機能に改善があったと考えられる。
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© 2004 日本理学療法士協会
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